洗練されていないところがいい。
マレーシアの女優兼シンガー、エラ・ファジーラの2006年のアルバム。
前作「...Kini Kembali」はかなりいい感じでした。
このアルバムは、マレーシアポップの最先端を行っているであろうSukiやDayangの作品に較べると、かなり保守的な感じ。
内容としては、打ち込みアップテンポソウルとマレー歌謡の香り漂うバラードなど。音楽的な冒険はほとんどありませんし、マレー風味が強い分洗練さには欠ける内容かも知れません。
しかし、ではこのアルバムが退屈で聴くに値しないものかと言うと、そうではないです。
前述のDayangやSuki、またNingの世界デビュー盤などは、確かにマレーポップスの新しい領域を切り拓く素晴らしい作品であることは間違いないですが、このエラ・ファジーラのような作品もまた素晴らしいと思います。
夫であるKRUのYusriのサポートもあるのでしょうか、ツボは外さずていねいに作ってあるし、本業は女優なのに、いや、女優だからこそ?表現できる、このいい意味での「ひっかかりのなさ」は気持ちいいです。なんかほっとするというか。
女優でも歌手でも、「表現行為」という意味では通じるものがあると思いますし、実際すごくエモーションが伝わってくる歌だと思います。
マレーシアにたかが数十回行ったことがあるだけの、外国人であるおれがそう感じるのだから、マレーシア語をネイティヴとし、マレーポップスを長年聴いてきた人だったら、なおさらそう感じるのではないでしょうか?
タイで言うとPanaddaのような、派手ではないけど信頼できるシンガーと言えると思います。女優だけど。
アルバムタイトル曲「Ya Atau Tidak」。
安心して聴けるかっこいい曲です。



