2008年12月30日

2008年の10枚

2008年ももう終わりですね。
今年は例年に較べて年末ムードが薄いと感じるのはおれだけでしょうか?

さて、毎年恒例では全然ありませんが、今年エントリしたアルバムの中で、特に素晴らしいと思った10枚を発表させていただきます。
長年ポップミュージックを聞き続けてきて、「あ〜もう新しい感動に出会うことはないのかな〜」と思うこともよくあるのですが、それでもやっぱり毎年素晴らしい音楽に出会えます。
若いころは、「おっさんになったら渋くジャズなんかを聴いてんのかな〜」とか思っていたのですが、全然聴きません(笑)。
やはり三つ子の魂百まで、ずっと雑種の音楽を聴き続けるのかな、と思います。
まあ、元々大衆音楽とは、いろいろなものを飲み込み、絶えず新しく姿を変え続けて行くところがスリリングでエキサイティングですし、自分はそこに惹かれ続けるんでしょうね。
とか言ってますけど、比較的新しい音楽であるラップには未だに馴染めませんが(笑)。

ではいきます。



10位
Neko Jump / Lady Ready !


正直、今までのNeko Jumpはコンセプト先行で、音楽的にどうこう言うもんじゃないと思っていたのですが、このアルバムは良かったです!
タイポップスの良さって、屈託のない能天気さとタイ情緒あふれるバラード(いわゆる「タイ歌」)だと思うのですが、それが絶妙のバランスでうまいことパックされたアルバム。
音楽的にはある意味「浅い」のですが、このアルバムの「浅さ」はセンスいいですね。


9位
Suki / finally | akhirnya


「マーケティングによって作られる音楽」というものがあります。
既に「売れた」ものを追っかけるというか。
最近の日本だとラップ系の人たちとか、Perfumeフォロワーとか、アジカンぽいバンドとか。
その手のものって、売る側が「売れる確率が高い」という前提で作っているのに、意外と売れなかったりしますよね。
それは、聴き手からすると「最初に売れた人」、パイオニアでありオリジネイターである人をクオリティやインパクトで下回るからだと思うんですよ。
何で劣化コピーに金払わなあかんのじゃ、ってことですね。
どうせやるなら、このSukiのデビューアルバムくらいに有無を言わせないクオリティで作れっちゅうことです。
このアルバムも、全編いわゆる「流行の音」で構成されていますが、そのクオリティと血肉化が半端ではなく、誰の真似でもないけどなんか聴いたことあるいい感じに仕上がっています。
そして、メロディーもさることながら、アレンジやミックスといった制作スキルが非常に高く、「ユルくない」。
ある意味10位のNeko Jumpと対照的な名盤だと思います。


8位
Foo Fighters / Echoes, Silence, Patience & Grace


「ロックとは何か」を問い続ける求道者、それがデイヴ・グロールではないでしょうか。
音楽的な新規性はなく、基本的にデビュー時からずっと変わらない。
フーファイの新譜が出ると、「あ〜また同じような感じなんだろうな〜」と思い、あまり食指が動かないのですが、聴いてみると、思ったとおりの「同じような感じ」なのですがいつも感動します。
デイヴは、初めてロックを聴いた時の高揚感をずっと再現し続けることができています。
こんな(ジャンル的には)何の変哲もない音が、おれのようなヒネた音楽ファンにも感銘を与えるのは、デイヴのロックに対する愛や情熱の性だと思います。
もちろん、ソングライターやヴォーカリストとしてもすごい人です。
なんでNirvanaではドラムだけ叩いてたんだろう。


7位
GIGI / PEACE, LOVE'N RESPECT


GIGIというバンド、このアルバムを聴くまではあまり気にしていなかったのですが、これはすごく良かったです。
音楽的アイデアをたっぷり盛り込みつつ丁寧に作りこまれたバンドアンサンブルは、音楽の方向性は違えどThe Policeに通じるセンスを感じます。インテリジェントなロックですね。
ハスキーで男くさいけど暑苦しくはない、むしろ涼しげなアルマンのヴォーカルや、ディストーションをほとんど使わず、フュージョンのような繊細なアレンジのデワ・ブジャナのギターがそう思わせる理由でしょうか。そういった抑制のさじ加減も絶妙です。
かと言って頭でっかちにならず、ロックのダイナミズムも十二分に感じる、非常にレベルの高いアルバム。


6位
Rieka Roslan / Bercerita


このアルバムは、とにかく聴いてて気持ち良かったですね〜。
音楽のフォーマットはジャズとかボサノヴァな感じで、終始穏やかなムードなのですが、リカ・ロスランの余裕の歌声、そして彼女のヴォーカルを最大限魅力的に響かせることに焦点を合わせたアコースティックなバックトラック、癒されます。
メロディーもちゃんとフックがあり、すごく練られていると思います。
たぶんアップテンポでバンドアレンジにしてもすごくかっこいいんじゃないかな。
そういう意味で、やっぱりこのアルバムはジャズじゃなくてポップスで、だからこんなに好きなのかも知れません。


5位
Dayang / Kasih


ダヤン・ヌルファイザのアルバムは、2008年には3枚エントリしているのですが、最新アルバム「2007」よりこっちのほうが好きかな。
こちらのほうがよりマレーシアのポップスの本質に近いというか。
マレーシアのポップスは、実はインドネシアより民族音楽の影響が強く、独特の情念が核にあるような気がします。
そのむせかえるような情念をストレートに表現している音楽もあるのですが、このダヤンやシーラ・マジッドのように洗練されたジャズ・ソウル路線でラッピングすると、これがまたかっちょいいです。
このアルバムはマレーシア近代音楽の父P.ラムリーのカバーが多いのですが、シーラ・マジッドもラムリーのカバーアルバムを出していますね。
ラムリー本人の音楽も聴いたのですが、日本の戦前の歌謡曲みたいなアレンジでした。
それはそれで味わい深いのですが、やはりダヤンの適度に民族的だけど現代的なヴォーカルのほうが「しみる」感じがします。


4位
Mulan Jameela / Mulan Jameela


このアルバムは、優れた音楽家であるAhmad Dhaniのプロデューサーとしての才能が最も発揮されたアルバムではないでしょうか。
ムーランの個性的な声質と歌唱力もすごくチャーミングですが、このアルバムの素晴らしさの大部分はDhaniの功績だと思います。
個人的には布袋寅泰と通じるところがあると思うんですが、デジタルと生音の融合のセンスがいいですよね。
ノリとかグルーヴではなく、細部まで音を構築していく手腕は素晴らしい。
ボルネオに行った時も街で聴こえてきましたし、相当売れたんじゃないでしょうか?


3位
Alena / Seindah Diriku


アレナ久々のアルバムは、上品でありながらポップスの楽しさが詰まった、本当に素晴らしい作品でした。
アレナの透明感溢れるヴォーカルをいかに聴かせるかに注力し、オーセンティックかつアップトゥーデイトな音でまとめたプロデューサーPopo Fauzaのアレンジが最高です。
アレナは、たぶん何でも歌いこなせるような器用な人ではなく、だからこそ自分が勝負できる武器を研ぎ澄ませることにより、唯一無二の魅力を勝ち取ったんだと思います。
このチームの新作をこれからも聴きたいですが、ちょっと渋すぎてセールス的には厳しいかも知れんなあ…


2位Samsons / Naluri Lelaki (Special Edition)

このアルバムには、Weezerのファーストを聴いた時に似た衝撃を感じました。
屈託のないスピード感、快感原則に忠実な音、
「そうだよなあ、ロックって本来こんな感じだよな」
と改めて実感しました。
しかし、フーファイもそうですが、ロックが生まれて60年経った2008年に「ロック本来の良さ」を表現するためには、単純にロック「ぽい」音を奏でればいいわけではなく、そこには並々ならぬ才能・愛情・努力・技術が求められます。
彼らにはそれがある、少なくともこのデビューアルバムには奇跡の輝きがあると思います。
セカンドアルバムも音楽性の幅が広がって良かったですが、ファーストの初期衝動に1票。


1位
Perfume / GAME


Perfumeがいかに素晴らしいグループかというのは、このブログでも2007年夏ごろからずーっと主張してきたので、今更繰り返しませんが、このアルバムは本当にすごい。クオリティ的にも奇跡的な出来映えですが、こんな過激な内容で40万枚売れたというのがすごい。
「アイドルだから」「口パクだから」「ルックスがいまいちだから」などと言う理由で聴かず嫌いな人がいたら、本当に損してると思います。このアルバムを聴いた後では、上記のようなdisが全く意味がないことが理解できると思います。
日本の音楽史上に刻まれ、後年まで語り継がれる伝説的なアルバムになると思います。伝説が生まれる瞬間に立ち会えて光栄です。
このアルバム後に出たシングル2枚も素晴らしかったですし、来年5月の代々木ライヴの前にニューアルバムが出るとにらんでます。本当は今年中に出ると思ってたんだけど(笑)。



…ということで、インドネシア5・マレーシア2・タイ1・米国1・日本1という、インドネシアに偏向したランキングとなってしまいましたが、実際聞いてた時間とだいたい比例してると思います。
やはりインドネシアポップスはすごい。
Nancy AjramSamira Saidのアラブの歌姫たちも、今年は非常に優れた作品をリリースしたと思いますし、Adele凛として時雨なんかもインパクトありました。
Silly Foolsの新譜がいまいちだったのが残念ですね。まあ半ば予想していましたが。
Panaddaがいい意味で変わらないアルバムをリリースしてくれたのもうれしかったですし。

来年もいい音楽にめぐり合えますように、ということで、これにて今年最後のエントリとさせていただきます。
皆様良いお年を。



posted by インサック at 13:02| バンコク | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あけましておめでとうございます。
「○年の10枚」って、今までやっておられませんでしたよね?

パフュームは、つまらなくなったJポップシーンに大きな衝撃を与えましたよね。
今後は、海外でも人気が出てほしいなと思います。

>「マーケティングによって作られる音楽」
そーゆー売れ線グッズは、羞恥心や鼠先輩みたいな一発屋的イロモノだけで充分です。
ここ4年ほど、歌唱力が無いうえに大声で気張ってるだけの男ボーカルのバンド・グループがやたら多いですよね。イロモノを下回るクオリティの低さで聞くに堪えないと思いました。

ついでに、わたしは、ナンシー・アジュラムの新作を大賞に、インドネシアものは、デナーダとガラシにそれぞれ一票入れておきました。
デナーダのポップ歌手時代のCDを入手したので、年内に自分のブログで取り上げたいと思います。

今年もよろしくお願いします。
Posted by kisara at 2009年01月04日 11:44
kisaraさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

>「○年の10枚」って、今までやっておられませんでしたよね?

はい、初めての試みです。
やってみると、選ぶのも大変だし、コメントもつい書きすぎてしまい、けっこう大変でした。

>ナンシー・アジュラムの新作を大賞

ナンシーも良かったですよね。我ながらねこじゃんぷが入ってナンシーが選外ってどうなのよ、と思います(笑)。
どうもおれの場合、期待値を大きく上回ったものに甘いようです。
ナンシーはAh w Nossに匹敵する素晴らしいアルバムだったと思いますが、猫は全然期待してなかったのに良かったので。


Posted by インサック at 2009年01月05日 23:45
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