2005年05月23日

Fairuz/Modern favorites

fairuz.jpg

本当にモダン。アヴァンギャルドですらある。



アラブポップスで最もポピュラーな女性歌手、とジャケットに書いてあったファイルーズの編集盤(2000年)。
ファイルーズとは、おれも全然詳しくはないのですが、日本で言うと美空ひばりとか、アジアで言うとテレサ・テンとか、それくらいの存在のようです。現在のポップスの礎を築いた人というか。まあファイルーズは生きているわけですが。
で、聴いてみようと思って、比較的とっつきやすそうだったこのアルバムを買ってみたわけです。

これは70~90年代の彼女の曲の中から比較的モダンな(非アラブ的な、という意味か?)ものをピックアップしたもののようですが(とジャケットに4ヶ国語で書いてありました)、正直びっくりしました。あまりにもモダンで。
モダンというか、すごく実験的で、それでいてポップ。
狙ったのか、結果としてそうなったのかわかりませんが、とにかく他に類を見ない音楽と言えます。
昔の英国ニューウェーヴ、Roxy MusicとかGang of Fourみたいな「非黒人のぎこちないファンク」みたいな要素もあり、フリーキーな感じもあり、でもアラブ特有の哀愁も感じさせ、でもベタなアラブ歌謡ではなく、でもパクリではなく独自の音という、う〜んこれはすごい。
という曲が1曲目の「Al bosta」という9分近くに及ぶ大作です。
聴く前は、それこそ美空ひばりみたいな、ある意味「昔の曲」をイメージしてたんですけど、全然違いました。
音楽性は違うけど、ビョークと近いかも。

2曲目以降はまた感じが違うんですが、それでもアラブ音階・アラブ唱法のジャズ的解釈というか、ピアノやサックスをフィーチャーした曲もあればストリングスも入るし、ボッサもあるし、マレーシアのP.Ramleeぽい、戦前のムード歌謡みたいなものもあり(制作されたのはもちろん思いっきり戦後ですが)、どれも、レトロな意味も含めて「モダン」。
そして、どんな曲でもファイルーズのヴォーカルはファイルーズであり、もうアラブポップスというジャンルの枠を越えて「ファイルーズ」というジャンルがあるかのような個性です。
言えば「East meets West」という趣ではありますが、ハキームのこれとは違い、ヨーロッパでもアラブ圏でもないどこかで鳴ってる感じがします。
(ハキームのアルバムはヨーロッパで鳴ってる感じがします。)

う〜んかっちょいいな〜。他のも聴いてみようかな。ハイファとかアンガームも聴きたいし、ついでに買おうかな。
つってまたCDが増えるわけですが…

posted by インサック at 23:47| Comment(13) | TrackBack(1) | アラブ系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>という曲が1曲目の「Al bosta」という9分近くに
>及ぶ大作です。

bostaというと、郵便とバスの二つの意味があるけど、歌詞カードを見ると、バスのことみたいだね。
この「バスの歌」は、何を隠そう、わたしがFM東京で最初にアラブ歌謡に耳にしたときに、フェイルーズの歌として紹介されていたのでした。たしか70年代末期くらいの歌。
面白くてインパクトあるけど、変てこりんな歌だよね。
Posted by むじな at 2005年05月24日 02:10
「バスの歌」なんですね(笑)。
70年代後半だとすれば、当時の欧米の音楽状況からすれば相当先鋭的だったはずです。
ベテランなのにそういう冒険をするところがすばらしいですね。成功してますし。

Posted by インサック at 2005年05月24日 10:04
バスの歌の歌詞、アラ英対照は次を参照:
http://almashriq.hiof.no/lebanon/700/780/fairuz/legend/hadir.html
Posted by むじな at 2005年05月25日 20:44
実はファイルーズ、ほとんど聴いたことないです。我ながら、それで良くアラブポップスを語れるな、と言う感じですが。
しかし、僕の乏しいファイルーズ経験から言っても、「ビョークと近い」というのは納得ですね。非理性的というか、巫女的というか、そんな歌い方をする歌手だと思います。ひばりやウンム・クルスームみたいな、男っぽい安定した声質の歌姫とは対極にあります。言ってみれば「不思議ちゃん」ですかね。
Posted by nobuta at 2005年05月26日 00:40
むじなさんって誰かと思ったらSさんでしたか!
ご著作は拝読しておりますよ。いや、世界は狭い。
しかも、台湾ネタでなくアラブネタというところに、軽いショックを覚えましたわ。

これだけでは何なので。
私も一時アラブモノにハマったことがありまして、そのときはWardaとか"The Super Star"のRagheb Alamaを聴いてました。
おばさん歌手におっさん歌手ですので、ここでは取り上げられることはないかもですが(笑)。

結局あの微分音階が生理的に受け付けられなくて、聴かなくなりました。リズムは大好きなんですけど。

横レス&とりとめのないコメントでスイマセン。
Posted by alt at 2005年05月26日 07:49
>むじなさん
ありがとうございました。
「バスの歌」というタイトルでちょっとコミカルな印象を持ったんですが、歌詞を読むと納得ですね。
アラビア語はこれっぽっちもわかりませんから(笑)。

>nobutaさん
70歳の不思議ちゃん、「不思議ちゃんの女王」ですね。
確かにシャーマニックですよね。フォロワーが出にくい歌唱法ですね。
日本では一時期YUKIがビョークになりたがっていたみたいですが、もうあきらめてると思います。

>altさん

>おばさん歌手におっさん歌手ですので、ここでは取り上げられることはないかもですが(笑)。

大きな誤解です!
すでにナグワーおばさんやハキームも取り上げてますし、アムルやカーゼムについてもそのうち書こうと思ってます。
確かにレバノンのきれいどころのほうが多いかも知れませんが…


>結局あの微分音階が生理的に受け付けられなくて、聴かなくなりました。

今のアラブポップス(おれやnobutaさんのブログで取り上げているようなもの)は平均律で4拍子主体、すなわち現代の欧米やアジアでいう「ポップス」と同じ構造です。
アラブの伝統音楽は「マカーム」と呼ばれる非平均律の音階を用いるようですが(すみません、自分よくわかってないっす)。

おれの感覚では、アラブポップスってダンスミュージックとして極めて優れており(というか、リズムの構造がテクノやトランスに似ている)、すっごくポップだと感じてます。
Posted by インサック at 2005年05月26日 10:19
>アラブポップスってダンスミュージックとして極めて優れており

まったく同感です。ダンサブルな曲作りに関しては、
アラブは欧米よりも2,3周先行しているんじゃないでしょうか。

てなわけで仕事をさぼって、アラブなリズムの構造チェックで油売り。

前半はシンプルな4つ打ちなのに、ハンドクラップと
ライドシンバルの位置、それにコンガだけでアラブ風味になる例。
後半はスネアの位置を変えてグルーブ感を出す例です。
http://all.aboutchinadolls.com/db/percmix.mp3

次はもっと面白いですよ。
Wardaおばさんの曲「haramt ahebback」のリズムです。

ダサいぐらいスクウェアなバスドラとスネアに、巻き上げるような
タブラ(ここではボンゴとコンガを使ってます)を加えるだけでアラブ風。
でもグルーブ感はほとんどありません。
http://all.aboutchinadolls.com/db/haramt-perc.mp3

それが、曲として完成させるとこんなにダンサブルに(笑)
この曲はリズム隊以外のベースを始めとするパートがグルーブを
司ってます。
http://all.aboutchinadolls.com/db/haramt.mp3

>リズムの構造がテクノやトランスに似ている

ただ、コッチはよく分かりませんでした。どのように似てますか?
Posted by alt at 2005年05月27日 02:55
>リズムの構造がテクノやトランスに似ている

ただ、コッチはよく分かりませんでした。どのように似てますか?


いや、単にアクセントが4つ打ちだったり1・3拍目だったりするところと、うまく説明できないのですが「終わらない感/続いていく感」が似ていると思っただけです。
「終わらない感」は循環コードの一種によってかもし出されているんじゃないかと思いますが、コード取ったりしてるわけじゃないです(笑)。
おれ自身2.4拍目にアクセントが来る、いわゆるロックのリズムに慣れているのでよけい新鮮に感じるのかも知れません。

mp3、後で聴きますね。今音出せる環境じゃないので。

Posted by インサック at 2005年05月27日 11:49
altさん
>しかも、台湾ネタでなくアラブネタというところに、軽いショックを覚えましたわ。

わたしは一応何を隠そう、中学のときからアラビア語をかじっています。大学のときも早稲田の語件でアラビア語講座を選択したこともありますし。ただ、永遠に初級段階で、ぜんぜん進歩しない(^^;)
Posted by むじな at 2005年05月29日 03:47
インサックさん:

>終わらない感/続いていく感

なるほど。アラブものはトランスやテクノよりもずっとメロディアスですが、聴いているうちに似た陶酔感・高揚感が現れますよね。

わたしゃアラブものを聴いた少ない経験からもの言ってますけど、あちらの歌は、同じフレーズが何度でも繰り返しでてくるじゃないですか。あのメロディの反復がアラブテイストと「終わらない感」を醸しだしているように感じます。メロが繰り返すから結局同じコード・リズムの繰り返しになるんですが、特に循環コードは取り入れてないようですね。

んで、アラブっぽい気持ち良さがどこにあるのか考えてみました。
まずアラブテイストがメロディの反復にあるなら、やはり反復で有名なあのクラシックの大御所の曲はどうでしょう?

しかもうまい具合に中近東ものがあるので、反復メロ+アラブ風リズムでアラビア〜ンな感じがだせるのか、ちと実験してみました。
http://all.aboutchinadolls.com/db/turkish.mp3

全然ダメでしょ?これ。原曲のイメージが強すぎるのかも。
もう一人の大御所のトルコ風の方も似たようなものだろうなぁ(笑)

逆にアラブもののメロディは、それが平均率に沿っていれば、意外に他のジャンルの音楽との親和性は高いです。
ジャズはもちろんのことラテンやファンクでも全く問題なしでした。 < すでに実験済(笑)

結局、アラブものはアクの強いメロディの繰り返しに魅力があるように思います。
積極的に取り入れれば面白いものができると想像しますが、キワモノ扱いかな。
現在の社会情勢上、音楽とは無関係な反発もありそうだし……。


むじなさん:

>中学のときからアラビア語をかじっています。

それはスゴイ。まさに人に歴史ありですねぇ。その頃は今のようにインターネットが
あるわけでもないですし、語学をやるには不便な時代でしたでしょうに。

私は(NHK講座でいう)中国語を学びたいと考えているのですが、全然進歩がありません。
読むほうは徐々に慣れてきたんですが、会話が全然ダメです。
China Dollsの娃娃に中国語で話しかけたら日本語で答えが返ってきたぐらいダメでした。

毎回、エントリーからズレたコメントですいません(^.^;
Posted by alt at 2005年05月30日 11:47
altさん、循環コードというのはおれの言い方が不適切でしたね。
いわゆるドミナントとかトニックとかU-X進行とかのことではなくて、本当に繰り返すコードをイメージしてました。
あと、平均律とは言え、アラブ風音階(沖縄音階とか、ペンタトニックスケールのようなもの)はあるのかも知れませんね。ふと思っただけですが。

>China Dollsの娃娃に中国語で話しかけたら日本語で答えが返ってきた

これは日本語で返すHwa Hwaがすごいですね!

Posted by インサック at 2005年05月30日 23:54
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Posted by adidas ジェレミースコット at 2013年09月26日 10:32
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Posted by ファッションブランド at 2013年09月26日 10:32
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Excerpt: タイトルに深い意味はありません。 一昨年から昨年にかけて、China Dolls...
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