2009年07月26日

Rossa / Rossa

rossa.jpg

フルコースって感じ。



前作「Kembali」がすごく良かったRossa(ロサ)の、久しぶりのアルバム(2008年)。

Melly Goeslow作の1曲めは、メリー節炸裂の疾走感あふれるポップロック。
Mellyって、こういう曲なら5分で作れるんじゃないでしょうか?
いい曲だと思います。
この曲も含め、12曲中5曲がMelly&Anto夫妻のプロデュースです。
まあこの時点でクオリティは保証されるわけですが、あとの曲もUnguというバンドのPashaとのデュエットあり、歌い上げながらもウェットさはないバラードあり、キュートなポップソングありと、盛りだくさんです。
「kembali」の「Pudar」のような超キラーチューンはありませんが、総合的にすごくバランスが取れていて、聴いた後に満足感を感じる内容になっていると思います。

Rossaのひたむきなヴォーカルもいいですね。
インドメシアはミュージシャンのレベルが高いこともあり、余裕を感じさせるヴォーカルも多いのですが、Rossaは一生懸命歌っている感じがすごく伝わってきます。
別に他の人が一生懸命じゃないとか、Rossaが歌下手ということではないのですが、彼女の歌にはそういう色を感じるということですね。
かといって演歌的な情念はあまりなく、基本カラッとしているところがJ-POPや中華系・韓国系との違いでしょうか。

いろんな意味で、インドネシアのみならずアジアの王道メインストリームのポップミュージックとして、大変優れたショーケースになっていると思います。



Melly作「Hey Ladies」。
Rossaはかわいいですね。

posted by インサック at 11:35| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月20日

Maha Dewi / Dewi Cinta

mahadewi.jpg

あなどれん。



Dewi Dewiからキャロライナが抜けて二人組となり、グループ名も「Maha Dewi」になりました(2009年)。

前作と同じくAhmad Dhaniが全面プロデュース。
Dewaのヒット曲が約半分を占めるという、前作と同じコンセプトですね。
アルバムタイトル曲「Dewi Cinta」すら、Dewaの2004年のアルバムLaskar Cintaの1曲目「Pangeran Cinta」の異名同曲です。

前作でも異彩を放っていたShinta(今作では"Tata Mahadewi"とクレジットされています)のヴォーカルはますますスモーキーに迫力を増しており、特にバラードでの歌い上げ感は唯一無二の個性を感じます。
もう一人のPurieもちょっとハスキー系で、声質的にはぜんぜんかわいくありません(笑)。
脱退したCarolinaはキャンディヴォイスだったんですが、この二人だと曲が普通にポップスでもロックに聴こえてしまいます。
かつ、DewaのヴォーカルOnceの、メランコリックなテイストに通じるものがあり、これはこれでなかなかいいんじゃないでしょうか?

アルバム前半は、ラップをフィーチャーしつつもDewaっぽさが強い感じでいまいち面白みに欠けるのですが、前作のリード曲「Doktor Cinta」をショートミックスした6曲目「Intro..Intro..Intro」以降はイェイイェイのウォウウォウなドライブ感で突っ走る、インドネシアのCDによくある後半盛り上がるタイプのアルバムですね。
なんかPurieとTataのヴォーカルのバトル的な様相もあったりして、かなり聴き応えあります。
しつこいですが、特にTataのヴォーカルはいいわ〜。
一聴の価値ありだと思います。

後半は音の使い方からアレンジから、ビートロックありラップありレゲエあり、Dhaniらしい工夫が凝らされています。
やはり彼はこういう作りこんだロックを作らせると世界レベルです。



タイトル曲「Dewi Cinta」。
髪の長い方がTataですね(見ればわかるか)。
こんな顔してあんな声出るんだなあ。


posted by インサック at 22:23| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月19日

Maia / Sang Juara

maia.jpg

日本でもこういう人いないかな…



Ratuを解散し、DewaのDhaniと離婚したMaia Estiantyの新プロジェクトMaia(マヤ)です(2009年)。
メンバーはMaiaと新人のMeychanの2人。

Ratuの時は、正直Dhaniがかなりやってたんじゃないの、と思っていたのですが、Maiaの才能がすごかったんだと思い知らされました、このアルバム。
椎名林檎のデビュー時も、ぶっちゃけ亀田誠治の力だろうと思っていたこともあったのですが、それと似た感じでしょうか(Dhaniも亀ちゃんも才能あふれるミュージシャンだと思いますが)。

アルバムは、初期の布袋Jesus Jonesに通じるデジロック/ビッグ・ビートを基調に、やはりアジアで売れるためには必須のバラードが、7:3くらいの割合で構成されています。
個人的には、パンクとテクノというのは二大凶暴な音楽ジャンルという感覚があって、例えばProdigyとかNINとか、最強に凶暴な感じがするんですが、このジャンルって日本ではあまり受けないですよね。ブンブンサテライツくらいでしょうか。
パンクは、日本だとブルーハーツ=パンクみたいな解釈をされる感じがしますね。
ブルーハーツはおれも大好きなバンドですが、パンクかと言われるとそうでもないような気が。
その後ブルハのフォロワーが「やさしさロック」みたいな感じで取り上げられたりして、ちょっと違うな〜という気がしていました。
要するに、おれがパンクやテクノに感じた凶暴性というのは、あくまでも音楽的に凶暴(主流に対するアンチテーゼという意味で)ということなんだろうと思います。

デジロックが最終的にメインストリームになったかというと、なってなくて、というかもはや忘れ去られたジャンルになってますよね。
まあPerfumeは十分に(音楽的に)凶暴であると思いますが。

で、このMaiaなのですが、そんな80年代後半〜90年代初期に勃興したデジロックを覚えているおっさんなら涙なくしては聴けない音です。
しかも、マイナーに自己満足するのではなく、メジャー感にあふれたスケール感です。
Mellyもそうだし、このMaiaにしても、日本でこのテイスト&クオリティは絶対いけると思うんですがどうでしょうか。
だってもう変なラップもどきとか、R&Bぽい(「ぽい」だけ)歌い上げ女ヴォーカルなんて、もう聴きたくないじゃないですか?
結局閉塞した音楽業界を再生するのは、そんなマーケティング主導で作られた音楽じゃなくて、志が高くかつ才能のあるミュージシャンが、マーケットとの折り合いも考慮したうえで作り上げるものだと思うんですよ。
そういう意味で林檎もPerfume(ヤスタカ)も、ガンガンに売れて欲しいです。
そしてフォロワーが全部コケて、スタイルの模倣ではだめだと思い知らせて欲しいです。

ま、そんなたわごとは全ておいといても、このアルバム最高。Maia最高。


アルバム1曲目「Pangkhianat Cinta」。
Cinta Lauraという人をフィーチャーしています。
画面左からMeychan、Cinta Laura、Maia。
Meychanいいですね。





posted by インサック at 15:40| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

Agnes Monica / Sacredly Agnezious

agnes_monica.jpg

スケールでかい!



もはやインドネシア有数のポップ・イコンとなったアグネス・モニカの新譜(2009年)。
スンダランド様によれば、ちょっと前に出したシングル「マタハリク」でMTV Most Favourite Femaleに選ばれ、携帯用のダウンロード数も、150万回を超える人気だそうです。

前作「Whaddup, A' ?!」はかなり黒人寄り、というかヒップホップ的で、ポップ感が後退した印象でした。
セールス的にはめちゃめちゃ売れたと思いますが、個人的には前々作「..and the story goes.....」のほうが好きでした。

今回はタイトルからして大仰かつ自分の名前を入れるという、ヒップホップ黒人がやりそうな俺様センス、ということでさらに黒人化するのか…!と思ったら、そうでもありませんでした。
むしろ特定のジャンルにとらわれない、スケールの大きい佳曲満載という感じです。
元々歌手としての才能は持っていた人だと思いますが、今回はシンガーとしてのキャパシティがぐっと上がったような気がします。
前作のようなスパルタンな力押しは減り、表現の幅が広がっています。
特にバラードで顕著でしょうか。
バラード自体、ネシア的な感覚はあまりなく、かといって洋楽ぽくもなく、すごくいい感じになってますね。
プロダクションもスキがなく、曲調もバラエティに富んでおり、売れなきゃおかしいでしょ、という、ヒットアルバムの持つ風格を感じます。
スタイルうんぬんではなく、純粋に音楽の力とアグネスの力量で成り立つ骨太のアルバム。
実際これは前作を上回るメガヒットになると思います。



ヒットメーカーDewiq作のロックナンバー「Janji-Janji」(3:40くらいから)。
かあっちょいい〜。



posted by インサック at 09:00| バンコク ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月07日

Potret / I Just Wanna Say I L U

potret_chika.jpg

センス爆発。



ご無沙汰しております。

インドネシアの天才ミュージシャンMelly率いるPotretのアルバムです。
一応「Chika」という映画のサントラらしいのですが、ジャケットには「I Just…」としか書いてないので、当ブログ的にはそっちの表記にしました。
Potret名義のアルバムは2003年の「positive+POSITIVE」以来ですね。
どういう基準で名義を使い分けているのかわかりませんが、音楽的にはPotretもMellyソロも、何か意図的に差別化していないように思います。

Mellyの作品は、サントラも含め常にクオリティが高いのですが、今回のアルバムはそれらを上回る傑作だと思います。
「捨て曲なし」というレベルではなく、「全て名曲」。
疾走感あふれるロックナンバーから哀愁あふれるスローナンバーまで、メロディーメーカーとして、アレンジャーとして、ポップだけどセンス抜群。
特に奇抜なアレンジがあるわけではないのですが、Mellyのセンスだけが成し得る匠の技ですね。
タイトル曲なんか、歌詞は「I Just Wanna Say I L U」だけだし、メロディーもコード進行もシンプルで、アレンジがちょっとずつ変わっていくのですが、これがまた絶妙でシンプルなのに奥が深い。
これはMelly自身も会心の出来だったんじゃないでしょうか。

ひとつ惜しまれるのは、ヴァージョン違いのオーケストラアレンジが半分くらいなこと。
サントラという事情があったのかも知れませんし、オーケストラアレンジがだめだということではないのですが、アルバムとしての印象がちょっと散漫になってしまったかもしれません。



センス爆発「I Just Wanna Say I L U」。


posted by インサック at 16:14| バンコク ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月10日

Dewa / Cintailah Cinta

dewa_cintailah_cinta.jpg

ジャケット以外は最高です。



Ahmad Dhani率いるロックバンドDewaの2002年のアルバム。
このアルバム発売当時、おれはタイにいたのですが、マレーシアに出張した時にのぞいたクアラルンプールのタワーレコードに、「Ada Apa Dengan Cinta ?」のサントラと共にディスプレイしてありました。
その時は、ジャケットがなんか気持ち悪くて購入を見送った覚えがあります。
「Ada Apa…」も、「サントラだしなあ」と思ってやはり購入しなかったのですが、今思うと両方ともすごい名盤で、自分の不明を恥じることしきり!

2005年の作品「Republik Cinta」の緻密な計算で構築された音と比較すると、割とストレートなロックとバラードで構成されていますが、よく聴くと音色はかなり作りこまれています。
イントロのドラムが打ち込みっぽい音だったりループぽかったり、でもいつの間にかサビではロック的なダイナミズムを響かせつつ、Dhaniのポップセンスはしっかり主張するという、Dewaの必勝パターンが炸裂しています。
ヴォーカルのOncehttp://blog.seesaa.jp/pages/my/blog/article/regist/inputの歌は、ハスキーで朴訥な感じですが、やはり「歌う人」の声だと思います。
昔は、今はソロで活躍する(Mellyとデュエットもしている)Ari Lassoがヴォーカルだったんですよね。その時代のアルバムも聴いてみようかな。
バックヴォーカルにRatuのMaia、Pinkanが参加しています。今では有り得ないですね(笑)。

しかし、ジャケットもちょっときもいのですが、インナーもなんかシュールな絵画で満載なんですよね。これはDhaniのセンスなんだろうなあ。
音楽は最高だけど美的センスはちょっとアレという、プリンスのような人です。



1曲目「Arjuna」
Dhaniは変な赤い帽子をかぶってギターを弾いてます。
やっぱり変な奴。



posted by インサック at 01:18| バンコク | Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月01日

The Rock / Master Mister Ahmad Dhani I

dhani_rock.jpg

Dhaniにも弱点が!!



Ahmad Dhaniのプロジェクト「The Rock」です(2007年)。
コーラスでMulan(この時点では改名前、Mulan Kwok名義)やDewi DewiのPurieも参加しています。
Mulanのアルバムにも収録されている「Aku Cinta Kau dan Dia」や、Dewa19の曲「Arjuna」も収録されています。

メンバーは、
Vocal: Ahmad Dhani
Guitar: Clancy Alexander Tucker
Bass: Zachary Haider-Keene
Drum: Michael Christopher Bennett

だそうで、Dhani以外は白人の人たちです。

Dhaniはこのアルバムで本格的な洋楽の音をやりたかったんだと思います。
実際、Dewaや彼がプロデュースしてきたMulanDewi Dewiとは趣の違う、スケールの大きい、悪く言うと大味な曲が多いです。
(1曲目なんかはDewaに近い凝った曲ですが)

そして、この「スケールの大きい洋楽のような音」が、Dhaniともあろうものが、精彩を欠くんです!
やはりDhaniのコア・コンピタンスは、緻密に練り上げるアレンジと凝った曲構成、まさに彼が大きな影響を受けたと思われるQueenのような、または影響受けたかどうか知らんけどXTCのような音作りなんでしょうね。

こういう大味ロックは、もうアメリカ中西部出身のミュージシャンしかできないんじゃないかと思います。アジア人には無理。英国人にも無理かも。
日本では、初期の奥田民生なんかは近い(実際米国でその手のミュージシャンとレコーディングしてましたが)かも知れませんが、米国特有の、「ヘタ」と背中合わせのルーズなノリは、なかなか再現できるものではありません。
黒人音楽の対極の「白人ノリ」とでも言いましょうか。
関係ないけど、最近の黒人音楽(ソウルとかファンク)って、打ち込みばっかりで、バンドのグルーヴを聞かせる人っていませんよね。
特にファンクって、もうヘビメタばりに「死にジャンル」なんでしょうか?
「ファンクっぽい」音楽は多いですけど。

あと、Dhaniのヴォーカルが、ヘタではないんですが、やっぱりヴォーカルの声じゃないんですよね。
おれも若かりし頃バンドをやっていましたが、ヴォーカルって、音程やリズムが正確な、所謂「テクニック」とは別次元の才能が必要なんだと思います。面構えも含め(美男美女であるということではありません)。
そういう雰囲気というかカリスマ性というか、サムシングがDhaniの声には残念ながら感じられませんでした。

まあ、その他の才能は凄い人なので、不得意なこともありますわな。
でも、楽曲としてはさすがによくできてると思います。



本アルバム最終曲、またDewaのアルバム「Chintailar Chita」の1曲目「Arjuna」のMulanとのデュエットヴァージョン。
オリジナルはロックなんですが、これはボサノヴァアレンジです。



posted by インサック at 17:31| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月26日

Dewi Dewi / Recycle +

dewidewi.jpg

くっ…またこんなかっこかわいいアルバムを…



Dewa 19のリーダーにして敏腕プロデューサー、インドネシアの中田ヤスタカAhmad Dhaniプロデュースの女性3人組グループのデビューアルバム(2007年)。
ていうか、1回限りのプロジェクトぽいです。
Carolina Dewi, Purie Dewi, Shinta Dewiの3姉妹、なわけではなく、ステージネームでしょう。ラモーンズみたいですね。
アルバムタイトル通り、Dewa/Dewa 19の曲をカバーしているようです。

またしてもDhaniのベタな中にもセンスが光る音使いで、かっこよくもキュートなアルバムになっています。
しかしいろんな音をうまくまとめるなあ。
Dewa 19の音も緻密ですが、音色的にここまでポップな幅はないです。
まるでCapsulePerfumeみたいです。
このアルバムの経験が、翌年のMulan Jameelaのソロ(傑作)につながっているような気がします。

3人の声がまた個性的で、セクシー担当のハスキーヴォイスPurie、シャウト担当のスパルタン声Shinta、普通にキュートでちょっと甘えたスウィートヴォイスCarolinaとなっております。
特にシャウト担当は、Agnes Monicaもびっくりのど根性を感じさせます。ここまで迫力あると、逆に使いどころが難しいですね。
Pinkanなんかもアクの強い歌い方だったし、Dhaniの好みなんでしょうか。
この使いにくい声を、ポップな曲の中で要所要所でビシバシキメてきます。

そしてもはやお約束的なQueenのカバーもあり。しかも「Love of my Life」というマニアックな選曲。DhaniはほんとにQueen好きなのね…
まあQueenの構築主義的な音作りは、確かにDewaに通じるものがありますが、その方法論がこんなポップ方向にまで応用できるとは!
どこまで完璧超人なのかAhmad Dhani!
(と思ってたのですが、実は彼にも弱点があることを知りました。これは別の機会にエントリします)



アルバム1曲目「Dokter Cinta」。
アルバム中もっともベタな曲です。



posted by インサック at 23:52| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月07日

Alena / Seindah Diriku

alena_2nd.jpg

心が洗われる。



2002年のファーストアルバムから、なんと6年振りのAlena(アレナ)のセカンドアルバム。

ファーストは、ちょうどインドネシアの音楽を聴き始めた時に購入したもので、AndienKrisdayantiなんかと並んで、「インドネシアのポップスのレベルはなんて高いんだ!!」と驚愕した記憶があります。

今回もファーストと同じくPopo Fauzaという人がプロデュースしています。
このPopoという人、本当にツボを押さえたアレンジをする人で、ミュージシャンシップあふれるバンドサウンドと打ち込み系のミックス具合が絶妙。
また作曲の才能もかなりのもので、Alenaの個性を理解したうえでバラードからロックまで、幅広く高レベルなメロディーを書きます。
特筆すべきはミドル系の曲で、ちょっと言葉で説明するのは難しいのですが、アイデアの豊富さとそれをまとめる職人技は、天才的と言ってもいいと思います。

Alenaのヴォーカルは、前作に較べるとかなりエモーショナルになっていますが、それでも抑制されたクールなトーン。けして感情に溺れることなく、透明感あふれるかっちょいいスタイルです。
彼女は中国系みたいで、中国語の曲が2曲収録されています。
インドネシアにおいて華僑であることをアピールするのはいいのか悪いのかわかりませんが、国民の大部分を占める非華僑の人からすると、あまりいい気持ちはしないんじゃないでしょうか?
それでもAlena自分のアイデンテティを示したかったのかなあ。

インドネシアの才気あふれるアーティスト(MellyとかDhaniとか)の作品より、マレーシアのシーラ・マジッドに通じるオーセンティックな気品を感じさせる大傑作です。超おすすめ。
今ならスンダランドで購入できます!
ネシアのCDはいつ売り切れるかわからないので、お早めに。


アルバムタイトル曲「Seindah Diriku」。
この曲だけでは彼女の魅力の1/3くらいしか伝わらないのですが、とりあえず。


posted by インサック at 13:15| バンコク ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月06日

Samsons / Penantian Hidup

samsons_penantian_hindup.jpg

構成力に舌を巻く。



インドネシアの新進バンド、サムソンズのセカンドアルバム。
アルバム自体は2007年リリースですが、これは新曲を加えたプラチナ・エディションということで2008年の発売です。売れたんですね。

ファーストは若さ爆発のスピード感あふれる音でしたが、今作はミドルテンポの曲で幕を開けます。
3曲目のアメリカンロックへの憧憬をストレートに表現した英語詩曲「Devil's Box」・4曲目あたりからファーストに通じるカラっとしたアップテンポナンバー、中盤ではバラエティに富んだ曲が続き、後半はQueenばりのドラマティックで壮大なロックオペラ的楽曲が並ぶという、聴いていて盛り上がる構成になっています。
個々の楽曲も、ファーストの勢いはそのままに、表現の幅が広がった感じ。

日本や欧米だと、音楽がビジネス化しすぎて、その時のトレンドやいわゆる「売れ線」を意識しながら作っていると思うんですが、サムソンズにはそういうビジネスの匂いがしません。
というか、世の中には多様なバンドがあるんだけど、レコード会社的にフィルターをかけてしまっているんでしょう。
サムソンズは、他人の評価を気にせず、自分たちがやりたいことをやっているような印象を受けます。
ほとんどの曲の作詞作曲を手がけ、プロデュースもやっているヴォーカルのIrfan Auliaの才能は素晴らしい。dewa19のAhmad Dhaniに匹敵するのでは?
Dhaniはけっこう「売れ線」意識してるかも知れませんが。

いや〜サムソンズ素晴らしいですね。今後も楽しみです。



Krisdayantiともよく競演しているErwin Gutawaのオーケストラアレンジが冴える「Seandainya」。
いいですね。

posted by インサック at 02:25| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月19日

Samsons / Naluri Lelaki (Special Edition)

samsons.jpg

全ての要素がメロディーに奉仕する!名盤!!



インドネシアの若者に大人気らしいSamsonsのデビューアルバム(2005年)にアウトトラックを追加したスペシャルアルバムです。

このアルバムは、非常に非常に素晴らしいと思います。
音的にはオーソドックスなポップ・ロックですが、ヴォーカルのエモーション、切なく高揚するメロディーライン、ダサさとハイセンスの境界でギリギリセンス側を駆け抜けるアレンジ、ミュージシャンエゴを抑制し、メロディーが最高にかっこよく感動的に鳴ることのみを考えているような楽器隊のプレイ、全てが非常に高いレベルで奇跡的な調和を見せています。
このバンドのアルバムはこれしか聴いていないので、まさに奇跡が起こっているのかも知れませんが、いやいやこれはすげえ!!
全曲捨て曲なし、というか、普通のバンドだったらキラーチューンレベルの曲しかありません。
君たち必殺技いくつ持ってんの!って感じです。

音楽的には本当にまっとうなバンドサウンドで、音楽的には新規性は全くないのですが、必要な音が必要な時に鳴らされると言いますか、ポップミュージックの快感の本質を突く音作り、これを計算ずくでやってるとしたら恐るべき才能です。
ていうか、たぶんメンバーはロックがすごく好きで、純粋に自分たちが気持ちいい音をつきつめた結果なんだと思います。
音楽に対する愛情は、曲を聴くと十二分に伝わってきますし、それこそ「音楽があったおかげで生きてこれた」くらいの気持ちを持っているんじゃないでしょうか。
No Music No Lifeですな。

音楽性は違うんですが、アジカンやバンプに通じるものは感じるのですが、日本のバンドの場合、国民性もあるんでしょうか、どうしても神経質な方向に行っちゃうような気がするんですよね。
アジカンもバンプも好きですが、やはり日本の社会状況や彼らの置かれている立場から、辛気臭さが抜けないというか。
インドネシアの社会状況は日本より苛烈だと思いますが、それでもこのサムソンズのようにスカーンと突き抜けたポップスが出てくるのはすごいと思います。
ていうか、インドネシアの音楽レベルが異常に高くて、サムソンズもその土壌があってこういう素晴らしいアルバムを作ることができたんでしょうね。
日本もそうならないかな…



1曲目「Kehadiranmu」。
音が悪いですが、ギリギリベタに堕してない彼らのセンスがわかる曲だと思います。

posted by インサック at 22:48| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月16日

Andien / Bisikan hati

andien_1st.jpg

これで15歳!



2000年にリリースされたAndienのデビューアルバムが再プレスされました。
アンディエンは1985年生まれなので、この時15歳ですね。
Elfa Sectriaという人のプロデュースで、ジャジーなポップスとジャズやボサノヴァのスタンダード(My Funny ValentineとThe "Boy" From Ipanema)を歌っています。
これが15歳とは思えないグルーヴ。ジャズのリズムを血肉化しています。
天才少女と言っていいかも知れません。
天才少女と言えば、最近フィリピンのCharice Pempengcoが話題になっているようですが、Andienは方向性こそ違うものの、やはりすごいなあと思います。

ペンペン子ちゃんに関しては、ころんさんキサラさんのブログに詳しいエントリがありますので、こちらをご参照ください。

アンディエンはその後2枚アルバムをリリースしていますが、セカンドアルバム「Kinanti」は、この1枚目の路線に現代の最先端ポップミュージックの要素を加えた打ち込みジャズ・ボサノヴァの大傑作アルバム、サードの「Gemintang」はセカンドほどの先鋭性はないものの、逆に一般性に富む素晴らしいポップアルバムでした。

実は、これらのアルバムを先に聴いてしまっていたので、このファーストアルバムはちょっと凡庸に聴こえてしまうことは否めません。
アレンジも甘いというか、Andienというシンガー個人にフォーカスして作ったわけではなく、「ジャズが歌える少女」用に作ったという感じ?

Perfumeなんかもそうだと思うんですが、パフォーマーの個性や能力を最大限に活かすべく、全てのパフォーマンスを細かくチューニングするすることによって、唯一無二の作品が生まれるんじゃないでしょうか。
そういう意味では、このアルバムはとりあえずAndienという優れた才能を世間様に紹介する役割に過ぎず、彼女の真価が発揮されるのは「Kinanti」以降と言えましょう。



ということで「Kinanti」収録の「Menjelma」。
Andienのゆったりとしたヴォーカルとバックトラックの緊張感の対比が素晴らしすぎる。

posted by インサック at 16:10| バンコク ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月13日

Bunga Citra Lestari / Tentang Kamu

bcl.jpg

音楽とヴィジュアルは無関係ではない。



モデル出身の歌手兼女優、ブンガ・チンタ・レスタリ(BCL)のセカンドアルバム(2008年)。
Aquariusの女性ヴォーカルということで、当然Mellyが……と思ったら、曲提供はしていません。
代わりにDewiqが2曲提供しています。

フレンチポップ風の曲で幕を開け、その後はアコースティックな癒し系の曲が続きます。
2曲めがDewiqが書いたタイトル曲なのですが、なかなかいい曲。
Dewiqが他の人に提供した曲って、いまいち印象が薄いのですが、それだけ普遍的な佳曲を書く人とも言えますね。

4曲目あたりから徐々にグルーヴが増して行き、Ari Lassoとのデュエットなんかも織り交ぜつつ、ラス前のノリノリのポップスにしてガツンと来るロックナンバー「Aku Pasti Datang」の後、最終曲「Hanya Diam」でさわやかに締めるという、なんかフランス料理のフルコースのような秀逸な曲構成です。
考えてみると、インドネシアのポップスのアルバムってこういう構成(オードブルの1曲目→そのあといろいろ楽しい料理が出て、ラスト前でメインディッシュ→最後はさっぱりとしたデザートで口直し)が多いような気がします。
このアルバムも、BCLの歌が特筆するほどうまいわけではなく、突出した名曲があるわけでもないのですが、曲順及び全体のバランスがあまりにもいいために、何回も繰り返し聴いてしまう魅力があります。
特に、このつるんとしたゆで卵みたいな娘さんが歌っていると思うと素晴らしさも格別です。

やっぱり見た目と音楽って関係ありますよね。
別に美男美女が歌ったほうがいいというわけではなく、例えばBungaちゃんが「味のある顔」だったら、それはそれで好きになると思いますが、何となく質が違うように感じることは否めない。

おれは椎名林檎さんがすごく好きなのですが、それは音楽性もさることながら、林檎が美人だということが、実はかなり影響しているんじゃないかと思います。

でも、サンボマスターの山口さんの面構えも好きです。
あの顔であの歌詞、あの怒涛・驚愕のギタープレイだからこそ信じられるというか。
もし福山雅治ばりのハンサムだったら、なんかうさんくさく感じちゃうかも知れない。


Dewiqの筆によるアルバムタイトル曲「Tentang Kamu」。
しみじみとしたいい曲だと思います。

posted by インサック at 02:12| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月13日

Pinkan Mambo / Wanita Terundah

pinkan_2nd.jpg

充実の一枚。



Ratu初代ヴォーカル、インドネシアの欧陽菲菲Pinkan Mamboのセカンドソロアルバムが出ました(2008年)。
今回もTohaptiが半分以上の曲をアレンジ。よく働きます。

1stはなんだかんだでかなり愛聴してたのですが、今回のアルバムは彼女のヴォーカルスタイルの特徴をさらに活かした内容になってます。
具体的にはハスキー・巻き舌・コブシ(ソウル歌手の「フェイク」に近い)なんですが、この「クセ」がますます顕著になってます。
これってヴォーカリストの人にはよくあることで、個性の確立とも言えますし、クセがつきすぎてすごいことになっちゃう人もいますよね。誰とは申しませんが。河村隆一とか。言ってますが。

Ratu時代からPinkanの歌はインドネシアには珍しい情念を感じさせる演歌っぽいテイストが濃厚でした。むしろマレーシアに多いタイプですね。そのへんが個人的には欧陽菲菲とイメージがかぶるのですが。
音的には、幅広い音楽のバックグラウンドを持つTohpatiが、スケールの大きいバラード中心にうまいことまとめていて、Pinkanの演歌っぽいヴォーカルにマッチしてます。
バラード中心と言えども、各曲のアレンジはバラエティに富んでいて、食傷することはありません。むしろ「おなかいっぱい感」を感じる、充実した内容と思います。

でも、むしろソウル・ファンク系の、もろ黒人音楽な曲のほうが、彼女の歌の情念と迫力を活かせるスタイルじゃないかな〜と思います。
9曲目「Ratu Pesta」なんかはそんな感じの曲なんですが、ミドルテンポもいいけれど、もっと熱量高い曲を聴きたいような気になりました。



ニューアルバムからの曲が見当たらなかったので、ファーストのイカしたポップチューン「kasmaran」。
彼女写真写りがあまりよくないのですが、動いてるほうがジャケット写真よりキュートです。



posted by インサック at 11:59| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月06日

Mulan Jameela / Mulan Jameela

mulan.jpg

Ahmad Dhani恐るべし。



Ratuの2代目ヴォーカリスト、ムーラン・クォック改めムーラン・ジャミーラのファーストソロアルバム(2008年)。
Ratuのセカンドアルバム「No. Satu」はキュートでロックな大傑作だったと思いますが、その後Mulanが一方的に解雇され、Ratuは解散となったようです。
Ratuの音楽性を握っていたMaiaはDewa19のリーダー、Ahmad Dhaniの奥様だったのですが、現在離婚沙汰。
そしてこのアルバムのプロデューサーはAhmad Dhani。
という、なんか裏ではかなりドロドロした愛憎劇が繰り広げられているようないきさつがありますが、そんな情念が反映されたのか、これがまた素晴らしく充実した内容となっております。

Mulanのヴォーカルは、Ratu時代を彷彿とさせるハスキーかつスウィートな声で、歌もうまいのですが、それよりもこの楽曲の充実っぷりがすごいです。
Dhaniの持ち味である、重厚でロック本来のダイナミズムをしっかり構築する方向性はそのままに、女性ヴォーカルだからか、かなり華やかなアレンジになっています。
アラブ調のフレーズから始まり、打ち込みドラムにハードロックなギターが絡む、これぞ本来の意味でもミクスチャー「Makhluk Tuhan Paling Sexy」に象徴されますが、デジロック(って最近言いませんね)を基調に、古きよきロックスピリッツを忘れない地に足のついた構築ぶりは、Ahmad Dhaniの音楽的基礎体力とセンスを思い知らされます。
途中でだれることもなく全10曲捨て曲なし、大傑作と言ってもいい、すばらしいポップロックアルバムです。
正直言ってRatuよりいいかもしんない。Ratuも相当すごかったと思いますが。

Dhaniという人、Dewa 19も素晴らしいのですが、最近のプロデューサー・コンポーザーとしての活動は、Mellyに並ぶポップ・インドネシアの至宝と言っていいんじゃないでしょうか。


1曲目「Makhluk Tuhan Paling Sexy」のPVはこちら
posted by インサック at 22:06| バンコク ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月02日

Tohpati / Serampang Samba

tohpati.jpg

ギタリストの業。



インドネシアのCDを聴くと、5割以上の確率でクレジットされているギタリスト、Tohpatiのソロアルバム(2002年)。
他のミュージシャンの曲では、ソツなくも安定したプレイを聴かせる彼ですが、ソロという自分のミュージシャンエゴを前回にできるフィールドではどういう音を鳴らすのでしょうか?
聴く前は、何となくアヴァンギャルドな、フランク・ザッパみたいな感じを想像していたのですが、全然違いました。

一言で言うとフュージョン。
インド音階や中華音階を取り入れたエスニックもいくつかありますし、所謂「フュージョン」というイメージからはちょっと外れた極もあるのですが、前提的な印象は「フュージョン」。
おれは昔カシオペアとか好きで、コンサートに行ったりもしてたのですが、黄金期のカシオペアに近い雰囲気もあります。
コード進行といい、サビまではテクニカル(と言っても早弾きとかではなく、テンション混じりの凝ったラインを丁寧に弾く感じ)、サビ(インストの場合もサビって言うのでしょうか?)では比較的シンプルなフレーズを反復するという、カシオペアで言うと「Asayake」的な構成が多いです。
唯一のヴォーカル曲はSheila on 7のErossとの共作で、Glenn Fredlyが歌うまったりとした癒し系バラードです。

しかし、音楽性の幅が広く、かつテクニック志向のギタリストは何故フュージョンに向かうのでしょうか。
学生時代のバンドのギタリストもすごくうまい奴でしたが、バンドでは普通にポップスをやっているのに、本当に好きなギタリストは渡辺香津美だったりしました。
たぶん、「楽器」をうまく弾くことと、音楽の構造(音楽理論とか、テンションの置き方とか、分数コードとか)の両方をやりたくて、かつ音楽体験がポップスから始まった人がフュージョンというジャンルを目指すんだと思います。
(音楽体験がクラシックやジャズだと、ジャズに行くような気がします)
音楽の構造よりもロックな雰囲気とかスピリッツみたいなことが好きな人はハードロック/ヘヴィメタルへ、楽器が下手な人はパンクへ、構造がすきな人はひねくれ系ニューウェーヴへ(XTCとか)に向かうんですかね。
おれの個人的な経験で言うと、ギタリストという人種は、特にフュージョン好きな確率がかなり高いように思います。
パート別テク指向の人が好きなジャンルは、

ギター:フュージョン
ドラム:プログレ
ベース:ファンク
キーボード:どポップ(でもコード進行は複雑)

て感じでしょうか。

で、Tohpatiのこのアルバムですが、非常に気持ちいいです。
そこはかとない南国風味もあって、高級ホテルにプールサイドで流れていそうな気持ちよさがあります。
休日のFMで流れてそうな、とも言える。
こういうのを1枚持っててもいいけど、Tohpatiである必要もない、記名性は薄いアルバムでもあります。
まあ本人がこういうのやりたくてしょうがなくて作った、一種の自己満足でもあるんでしょうし、また他のアーティストの作品で名演を聴かせてもらえるのであれば全然文句ないです。



posted by インサック at 00:06| バンコク ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

GIGI / PEACE, LOVE'N RESPECT

gigi_PLNR.jpg

会心の一枚。



Dewa19Slankと共にインドネシアを代表するロックバンドのひとつ、GIGI(ギギ)の最新アルバム(2007年)。
初めて彼らを聴いたのはベスト盤で、渋くも意ポップな感じで好印象だったのですが、その後購入した「Salam Kedelapan」(2003年)がいまいちだった、というかルナシーみたいだったので(ルナシーが嫌いなわけじゃないですが)、他にも素晴らしいアーティストがたくさんいるインドネシアなので他の人たちを聴いてました。

で、今回のアルバムですが、これはかなり素晴らしい!!
元々渋い音楽的ツボを突くセンスはかなりのものがあったと思うのですが、「Salam Kedelapan」みたいなある意味ベタなロックを演るとその特徴が活かされない部分があったのかも知れません。
今回はベタと玄人受けの見事な融合。
なんと言っても1曲目「Nakal」が最高。ロックなセンスあふれるスリリングかつ緻密なアレンジ、どんどん変わっていく曲調、そしてテンションを保ちつつ壮大なサビの開放感、稀代の名曲なんじゃないでしょうか。
その他の曲も、Armandのハスキーでエモーショナルながらも抑制の効いたヴォーカルを活かした、渋いけど趣味的ではない、地に足の着いたしっかりした楽曲群で、最後まで安心かつ楽しく聴けました。
しかしインドネシアの男性ヴォーカルって、こういう男気あふれて、かつ安定感のある人が多いですね。
なよなよしたタイの男性ヴォーカルと対照的です。

毎回言ってますが、このインドネシアの大衆音楽のレベルの高さは何なんでしょうか。
私見ですが、所謂欧米スタイルのポップスを各国の人たちが作っているわけですが、その国の民族音楽がバックボーンとしてかなり重要な役割を果たしているのではないかと思います。
タイのポップスはルークトゥン・モーラムが、マレーシアはムラユが、中華圏は京劇なんかの音楽が、なんとなく感じられます。
アラブは言わずもがな。
日本のポップスも、演歌的なテイストとか価値観が(ラップとかでも)否応なしに溶け込んでいるような気がします。
インドネシアの民族音楽としては、ダンドゥット(はちょっと違うか?)やクロンチョンなんかが有名ですが、文化の多様さでは東南アジアでも類を見ない国ですから、もっといろんなものが混ざり合ったものが、インドネシアのミュージシャン独特の「血」になっているのかも知れませんね。



「Nakal」(いたずらな、ふしだらな)。
↑埋め込み不可だったのでリンクを張りますが、ぜひ聴いてください。

posted by インサック at 00:31| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月20日

Naif / Televisi

naif.jpg

どこまで本気(マジ)なのか?だがそれがいい。



インドネシアのロックバンドNaifの5枚目のアルバム(2007年)。
「くだらない」日本語アナウンスに続き、昔のテレビ番組のテーマソングをモチーフにしていると思われる曲が始まります。
なんとなく70年代な感じ。と言ってもいわゆる「70年代ロック」ではなく、バラエティ番組のオープニング的なノリです。
このノスタルジックな雰囲気はアルバムを通じて感じられるもので、インナーも各局を昔のTV番組風にレイアウトしてたりして、明らかに「狙って」作られたコンセプトアルバムなのですが、これを洒落でやっているのか本気なのかがわかりません。

naif_2.jpg

見た目もこんなだし、勘違いしている可能性も高いのかな?と思ったのですが、またインドネシアなので楽曲のレベルが高い。それでよけいわからなくなります。
たぶんわかってやってるんだよね……

こういう一見くだらないコンセプトを、音楽的才能を駆使して徹底的に「やりきる」姿勢はThey Might Be GiantsParokya ni Edgarに通じるものがありますね。

全編レトロなトーンで統一しながら、切ない曲から軽快なポップチューンまでバラエティに富んだ楽曲を展開している音楽的手腕は凄いと思いますし、やっぱ曲がいいんですわ。



2曲目「Di Mana Aku Di Sini」。
これなんか、すごい名曲だと思います。




posted by インサック at 15:05| バンコク ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月18日

Rieka Roslan / Bercerita

rieka.jpg

これぞエイジアン・モダーン・ポップミュージック!!



スンダランドで何となく試聴したら良さげだったので購入してみました、Rieka Roslanという女性シンガーのアルバム(2006年)。
どんな人か全然知らなかったのですが、「悦楽的大衆音楽探検!」さんによると、Grooveというバンドのヴォーカルで、2005年にもソロアルバムを出しているようです。

話はそれますが、悦楽的大衆音楽探検!さんの更新がなくて寂しいです。
インドネシアのポップスに関する情報源としては、「蝸牛の神託 蝸牛のゴタク」しかない状況です。
密かにこの2つのブログの管理者の方は同一人物ではないか?と想像しているのですが、いずれにしても理知的で客観的な人っぽいです。
インドネシアの音楽が好きな人って、同じ傾向があるのでしょうか?

で、このアルバムですが、ボサノヴァやジャズを基調にした、ちょっと懐かしい音。
方向性としてはAndienなんかに通じるものがあるのですが、Andienのお子様なのにキレキレクールな音に対して、リカ・ロスランは少しエモーショナルであったかい感じがします。
Andienよりソウル成分が多めというか。
こういう、ロック/ポップスの世界ではトラディショナルな音だと、どこか懐かしめの音になるのがマレーシアやインドネシアのポップスの常ですが、このアルバムもご多分にもれず、70年代の黒人音楽を彷彿とさせる音になっています。
日本で言うとICE的。
関係ないけど、ICEのコンポーザーだりギタリストだった宮内 和之さんが2007年12月18日にお亡くなりになられていたんですね。
ご冥福をお祈りします。

で、このアルバムですが、本当に聴いてて気持ちいい。
単なる「趣味のいい音楽」で終わらない音楽への愛情を感じますし、実際どの曲にも印象に残るラインがあって、ずっとヘビロテしています。
全体的にはレトロな雰囲気なんですが、同時にすごくモダンな感じもあって不思議。
「レトロでモダン」というのは、インドネシアのロックにも感じることなのですが、このへんのセンスはほんとに秀逸ですね。



4曲め、Iwan Abdieとのデュエット「Lelah」。
個人的には、この曲はこのアルバムの中で最もクオリティが低い曲だと思ってます。
他の曲はこんなもんじゃないです。

posted by インサック at 01:35| バンコク ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月13日

Lusy Rahmawaty / Sexy

lusy_sexy.jpg

何にも似ていない。



AB Threeのルーシー・ラフマワティ、2003年の前作「Dua Warna」から久々の新作です(2007年)。
ジャケットからして今風R&Bか?と思いきや、確かにR&Bを基調にしていますが、全く欧米の模倣感がない。
例えばタイのTongの最新アルバムは、ジャケットから想像した音そのまんまだったのですが、この違いは音楽を作る際の心構えの違いではないでしょうか。
極論すれば、タイのポップスは消費されることが前提であり、音楽そのものの質よりもブームを大きくすることに重点が置かれている(そしてブームを作るのに、実は音楽の質は重要な問題ではない)なのに対して、インドネシアのポップスは「音楽作品」としてちゃんとしたものを作ろうという気概を感じます。
もちろんアーティストによって濃淡はありますが。

さてこのアルバムですが、前作がロック色が濃かったのに比べ、かなりバラエティに富んだポップス・アルバムになっています。
本人作曲のタイトル曲「Sexy」はR&Bぽいですが、他もミニマルな感じのテクノ風味あり、もちろんバラードもあり、バラエティに富んでいて、飽きません。

lusy_sexy_2.jpg

また歌がうまいですな。
コントロールが効いているというか、曲に合わせてセクシーだったりキュートだったり、また楽曲のレベルも高く、というか「ちゃんと作っている」と言ったほうがいいでしょうか。
全てに置いてバランスが取れている、というと凡庸に聞こえるかもしれませんが、そのバランスの位置がとんでもなく高い。
このありそうで無い絶妙のポップネス、一朝一夕には実現できない職人技だと思います。
Mellyを筆頭に、インドネシアには才能あるミュージシャンが非常に多く、そういう人たちが築いてきた土壌あってのこのアルバムな気がします。
肥沃な土地には美味な果実が実るということですね。


Bounceで紹介されてました!
びっくり。
posted by インサック at 01:53| バンコク ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | インドネシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。