2007年08月26日

Perfume / Complete Best

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テクノ・ハウスの最終形態かも。



テクノポップアイドルユニットのパヒュームです。
これはすごいです!!
プロフィール等はこちらをご参照ください。
一応体裁としてはアイドルグループであり、実際世間ではそういう受け取られ方をしているようですが、サウンドが尋常じゃない。
capsuleというユニットの中田ヤスタカという人が全作曲・アレンジを手がけているのですが、いわゆるハウス(=今までのJ-POPの枠組みではありえない)の音作り。
異常に音圧の大きい低音セクション、ループの多用、加工しまくりで原型をとどめてないヴォーカル、バランスがおかしい(普通ではない)ミックス、ところどころスケールアウトするリフなど、ちょっと狂気を感じるアレンジです。
具体的にはDaft Punkっぽいという印象なのですが、ダフト・パンク自体がある意味ハウスの集大成的な音であるのに加え、Perfumeの音には所謂日本のテクノポップの要素がかなり入っていて、YMO及びそのチルドレン(PSY・Sとか)のDNAもしっかり受け継いでいる音です。とにかく全曲ハイクオリティ捨て曲なし。

ということで、YMOを音楽の原体験としている人(おれのことです)にはツボに入る音であり、テクノ好きにもたまらないと思うのですが、perfume自体はアイドルなので、音楽好きが耳にする機会は少ないと思うし、聴いても「ああアイドルでしょ」という先入観から真剣に聴かないような気がして、ちょっと歯がゆいです。
しかし彼女たち、今年のサマーソニックに出場してるんですよね。
売る方も考えてるんだな〜と思います。

一方、「アイドル」という枠組みであるが故に、冒険的な音でもポップさが保たれるというメリットもありますよね。
例えば米国のアヴリル・ラヴィーンなんかもそうですが、音だけ聴くとゴリゴリのガレージだけど、美形のアヴリルが歌うと一気にメジャー感が出るというか。
特に、このハウス・テクノという音に合うヴォーカルスタイルって、結局アイドルなのかなあという気がします。
音楽のスタイル自体が匿名性が強く、音を楽曲を構成する「部品」として捉える傾向があり、ヴォーカルも変に自我を持たず、部品として機能するような感じのほうがしっくり来るというか。
perfumeのヴォーカルも、加工されまくっていて3人のうち誰が何を歌っているのか判別不能ですし。

最近NHKのキャンペーンCMに起用され、露出が高まっている人たちですが、そのCMの曲「ポリリズム」がまた有り得ないアレンジ。本当にポリリズムを導入しています。
今までアイドルの曲でこういう難解なアレンジが施された例というのはほとんどないんじゃないでしょうか。
この音がどれだけ大衆に受け入れられるのか、日本の市場において大衆音楽足りえるのか未知数ですが、YMOやNew Orderでもあれだけ売れたんだから、意外にブレイクするのかな、という気もします。


問題の最新シングル「ポリリズム」。
中盤の展開にはびっくりです。




posted by インサック at 14:14| バンコク ☀| Comment(11) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月16日

m-flo / Cosmicolor

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う〜ん今回はどうなんでしょうねえ?



Astromantic」、「Beat Space Nine」に続く「m-flo loves Who?」最新作にして三部作の最後を飾るアルバムです。

「Astromantic」「Beat Space Nine」は両方とも非常に好きだしすごいアルバムだと思ったのですが、今回は正直言ってどうかと思いました。
なんか前2枚の焼き直しな感じがします。
トラック的には「あと1〜2チャンネル足りない」というか、ベースだけ作って、一番上に乗っけるべき「花形」の音がない感じがするんですよね。ミックス間違えたんちゃう?みたいな。
後、楽曲があまりにも「m-flo」でありすぎて、コラボしているヴォーカリストに合ってないというか。
もちろん過去2枚でも、ものすごくm-floの記名性がある音だったのですが、記名性がありつつ参加アーティストの個性も考慮したサウンドプロダクションもしてたと思うんですよね。
まあこのへんは参加アーティストの資質もあるかな。
倖田來未とかBONNIE PINKとかはねえ、やっぱりね…
そういう意味では、m-flo専属ヴォーカリストとも言える日之内エミとかryohei、melody.なんかはばっちりですね。
あと、タイのラップグループThaitaniumが参加しているのですが、ここはベタにタイ語ラップやって欲しかった。お約束でしょう。

このアルバムを聴いた後LISA時代のベストを聴いたらものすごくかっこよく聴こえました。やっぱLISAかなあ…
posted by インサック at 14:55| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月08日

佐野元春 / Coyote

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ロックは若者のためだけの音楽ではない。



佐野元春のニューアルバム(2007年)。
メジャーレーベルを離れ、自身のレーベルから出すアルバムとしては、前作「The Sun」(2004年)以来となります。
「The Sun」も良かったけど、近作はそれ以上にいいです。
元春と言えば、一般には「Somedayの人」「約束の橋の人」みたいなイメージかも知れないし、メジャーレーベルのプレゼンスが下がっているとは言え、活動歴の長いミュージシャンがインディーで作品を出すというのは何となく「都落ち」的な印象を与えるのかも知れませんが、正直言って今の元春の音楽のクオリティは、彼のキャリアの中でも何回目かのピークを迎えていると言っても過言ではないと思います。
元春も今年で51歳ですが、つくづくロックはもはや若者だけの音楽ではないと思いました。
ロックの始まりを1954年の「Rock Around the Clock」だとすれば、ロックは既に53年の歴史を持っているわけで、当時ロックンロールに狂喜していたティーンエイジャーは、もう還暦を越えているわけです。
かくいう私もロック的な音楽を聴き始めてかれこれ20年以上になりますが、「年を取ったらクラシックやジャズとか聴いているのかな〜」と思ったらそんなこと全然ないわけです。多少ゆったりめな音楽(ボサノヴァとか)は聴くようになりましたが。
周りを見ても、ジャズが好きな奴は若い時からジャズ好きですし、クラシックもしかり。やはり三つ子の魂百までで、好きな音楽というのはそうそう変わらないんだと思います。
なので、おれはこれからも所謂「ロック」を聴き続けるんだと思います。

そういう意味で、元春は今でも間違いなく「ロック」だと思いますし、世界と向き合って音を鳴らしていると感じます。
今作も、彼の長いキャリアを経てこその本格的ロックサウンドであり、普遍的なロックミュージックであり、けしてノスタルジアや過去の再生産ではありません。
メインテーマである「コヨーテ、海へ」を筆頭に名曲が多いですし、疾走感あふれるパワーナンバーも多いし、今回のバンドメンバーの力だと思うんですけど、スローナンバーでもグルーヴが途切れない。
もちろんポップであることを忘れてはいない。

そんなアルバムです。佐野元春を聴いたことのない人でも、きっと気に入ると思います。
posted by インサック at 23:30| バンコク ☁| Comment(7) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月05日

氣志團 / Six Senses




危険な香り。



氣志團ニューアルバム(2007年)。
今回は氣志團名義の曲は1曲、あとはメンバーのソロ作品が各々3曲ずつ収録されています。
今までの彼らのアルバムの曲は9割が團長・綾小路翔作曲、残りは星グランマニエだったので、残りのメンバーの音には少々不安だったのですが、意外にというと失礼ですが、ちゃんと色を出して音を作ってます。やはりただのバックバンドではないですね。
特に、星グランマニエは翔やんより音楽的才能が高いと常々思っていたのですが、今回もすばらしかったです。ソロアルバム出して欲しい。
あと、ベースの白鳥松竹梅のセンスがなかなか良かった。「服部」以降のユニコーン的というか、シブイところ突いて来る感じ。

他のメンバーの曲も普通にいいのですが、氣志團の曲ではないんですな、当然だけど。
メンバー的には、氣志團の音は氣志團名義でやればいいわけで、むしろ「非氣志團的音」を意識したんだと思いますけど。
個人的には、各メンバーの力量と指向が見えて面白かったんですけど、今まで通りの「氣志團的なもの」を期待する人たちにはちょっと辛いかもなあ。ちょっとコレクターズアイテム的な側面もあるかも知れません。

しかし、ここまでメンバーが普通に曲が作れるとなると、「解散」という2文字が頭に浮かんでしまいます。
実際、何かのインタビューで「解散も考えた」みたいなこと言ってたし。
でも、解散して翔やんがソロになっても、あんまり面白くない気がするんですよね。やっぱこのメンバーじゃないと面白くならないというか。
ということで次作ではより「氣志團っぽさ」を突き詰めた作品を期待してます。
ラベル:氣志團
posted by インサック at 12:17| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月21日

矢野顕子 / Super Folk Song




比較不能。



矢野顕子のピアノ弾き語りカヴァーアルバム(1992年)。
矢野顕子は清水ミチコがものまねするほど、記名性が強いというか、ちょっと聴いただけで「あ、矢野顕子」とわかる個性を持った人ですね。
それは他人の曲をカヴァーする時も同様で、本当は矢野顕子が作ったんじゃないか、というくらい血肉化してしまい、音楽家としてすごい力量を持った人なんだなあ、と感心してしまいます。

このアルバムは、矢野顕子の原点とも言うべきピアノ弾き語りで、ピアノと歌以外一切の音は入っていません。彼女はこういうスタイルのアルバムを何枚か出してますが、これが最初だったと思います。
こういうスタイルでアルバム1枚の長さだと、音の起伏に乏しかったりプレイヤーとしてのエゴが出すぎて退屈だったりするんじゃないかと思うんですけど、このアルバムに関してはそういうのは全くなく、聴いてる間中どっかに持っていかれます。音楽のマジックを実感できる奇跡のアルバムですな。

その強い個性から、好き嫌いもあるかなあと思いますが、個人的には稀代のヴォーカリストだと思いますし、ピアノがうまいかどうかを判断できる耳をおれは持ってないのですが、少なくとも矢野顕子のヴォーカルと一緒に鳴る音としては最高のものだと感じます。

一時期矢野顕子を比較的熱心に聴いてた時期があって、GranolaとかLove Lifeくらいの時、ちょうどこのアルバムが出た前後くらいでしょうか。
特にGranolaは大好きだったのですが、なんかだんだん「幸せの伝道師」的な、なんか「幸せであるころ」を強制されているような気になって遠ざかってしまったのですが、久々に聴きなおすと、彼女の音楽はそんな甘っちょろい感傷からは百万光年遠いところで孤高に鳴っていたことを再認識しました。
「ひとつだけ」なんかもいい曲だったな〜。







ラベル:矢野顕子 
posted by インサック at 16:19| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月11日

椎名林檎×斉藤ネコ / 平成風俗

heisei_fuzoku.jpg

また変わった。



椎名林檎が斉藤ネコ氏のオーケストラアレンジで新曲半分、既発表曲半分で制作したアルバム(2007年)。
映画「さくらん」のサウンドトラック的な側面もあるようです。

椎名林檎さんは、以前から和風なテイストやジャズやオーケストラ的なアレンジの曲もやってましたので、そんな違和感はなく聴けました。
歌がさらにうまくなってますね。シャウトの発声がちょっと変わって、以前の無機質っぽい歌い方からよりエモーショナルな、いい意味で「荒い」ヴォーカルになってます。
これがゴージャスなバックのと絶妙なコントラストになっていて、非常にスリリングな音になってます。

林檎は、ソロではめっちゃロックなファーストからどんどん音楽的に複雑になって行き、3枚目の「加爾基精液栗ノ花」ではかなり難解なアレンジが炸裂しており、「売れ線」とはお世辞にも言える音ではありませんでした。タイトルからして売る気があるとは思えませんし。
で、東京事変でまたロックの衝動に立ち返り、今度は「ロック」を突き詰めた音を出していたように思います。
東京事変で2枚のアルバムを発表し、このアルバムは2回目の「加爾基精液栗ノ花」のような気もしますね。そのくらいアレンジの密度が高い。
オーケストラやビッグバンドなアレンジが基本なのですが、曲によっては打ち込みバリバリのアシッドなものもありますし、既発表曲もガラっと違うアレンジになってますし、単なる企画モノではないし、既存曲で手を抜いたアルバムでもなく、「ポップさ」も失わず、ゴージャスでおしゃれな「非バンド」な音楽のかっこよさを存分に盛り込み、しかも林檎が持つクレイジーさもがっつり入っているという、林檎のニューアルバムとしてちゃんとしている、いいアルバムだと思います。




posted by インサック at 15:06| バンコク ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月24日

The Willard / Who Sings a Gloria ?

willard_wstg.jpg

当時の流れからするとバッチリの内容。



とりあえずウィラードはこれでひと区切りです。
実は東芝EMIからデビューから3枚目までが一気に再発されて大人買いしただけなのですが。

インディーズでの「Good Evening Wonderful Fiend」の記録的なセールスを経てのメジャーデビューアルバム(1986年)。

「Good~」はやみくもな疾走感と圧倒的な世界観の構築が衝撃的だったのですが、やはりインディーズなのでレコーディング技術的にしょぼい部分があったのですが、このアルバムはさすがメジャー、音が整理され格段に聴きやすくなっております。
やはりメジャーに行くってこういうことだよね、と当時激しく納得した記憶があります。
いい機材で金かけていい音のCD(というか当時はアナログレコードですが)を作って、インディー(今でこそインディーズのままヒットする人もいますが、当時は流通や露出の問題がありました)では届かない人たちにまで届けようとする意志ですよね。
てことで、数段ゴージャスになりつつも持ち味はなくさないウィラードでした。
また、曲がおそらく全部書き下ろしなのにクオリティ高い。
インディーズの頃に数回ウィラードのライブに行ったんですが、このアルバムの曲は全然やってませんでした。
逆にCD化されていない名曲が多すぎ、とも言えます。
たとえば「Punx Sing a Gloria」という初期の名曲があるのですが、それは現在入手できるCDには収録されていません。
昔「Gone With the Wind」というベスト+アウトテイクス集みたいなアルバムが出て、そこには入ってましたが、廃盤です。
実はこのアルバムのタイトルもその曲から来ているのですが。
他にも「Soldier Song」「Stinky Vice」など、すげえ曲あったなあ。
ま、歌詞的にレコ倫通らなかったんでしょうけど…

とにかく、「Good~」から1年足らずでこれだけの曲を作ってしまうJUNのソングライティング能力恐るべし、ですね。相変わらず音のセンスいいし。

実は次のセカンドアルバムから、ウィラードは長い迷走期に入っていった、といか常にメンバーチェンジや活動停止で迷走じゃない時期のほうが珍しいんですよね。
そういう意味でも、数少ない「迷走期じゃないウィラード」のアルバム。音にも迷いがありません。
posted by インサック at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月15日

The Willard / The Legend Of Silver Guns

willard_losg.jpg

音楽性が高いのよ。



ウィラード、1987年リリースのメジャー2ndアルバム。

このアルバムは、次の段階を目指す彼らの試行錯誤的なアルバムだったように思います。アルバムのタイトルチューンがインストというのも、当時のインディーズブームに乗っかっただけのバンドとは違うんだ、という意気込みを感じます。

美意識というか世界観は相変わらずダークなものですが、ホラー的なものから寓話性、残酷さと裏腹の朗らかさ(おれたちゃ海賊やっほっほ、みたいな)まで、ちょっとだけ拡がった感じがします。
曲調がかなり多彩になり、ダムド的疾走感からドアーズ的サイケ感、ホーンやキーボードの大胆な導入とか。元々彼ら(というかJUNこと帯賀淳)の資質だったと思うのですが、それらがようやくはっきりと表現されてきた、という印象があります。

そんな実験作だから、ということもあるんでしょうが、音作りがかなり繊細に作りこまれていて、ウィラードの歴代のアルバムの中でもかなり神経質な感じがあります。
インディーズ時代から他のバンドとは一線を画した高い音楽的センスを持っていたと思うのですが、やっぱイケイケだけだとミュージシャン的には飽きちゃうんでしょうね。いろいろやってます。
曲構成も凝ってるし、曲調の幅も広いし、細々したアレンジも実験精神とポップセンスにあふれています。

ところどころやりすぎ、というかミスジャッジな部分(笑)も見受けられるのですが、バンドアンサンブルのかっこよさで聴かせ切っちゃう底力。

ただ、意識的に「売れよう」とは考えてないですよね。このへんがJUNの開き直れない弱さ、というか、どうしてもメジャーになれない理由があるんじゃないかと思います。まあ本人も承知でしょうが。
ソングライター/アレンジャーとしてはポップな資質を持っている人だと思うんですよね。むしろプロデューサーとしての道を進んだほうが良かったのかもしれない。
でも「現役」を退いて裏方に回ってそこそこ成功するよりも、死ぬまでライブハウスで高笑いしたいんだろうな。


posted by インサック at 22:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月11日

The Willard / The Town in Destiny

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ここでブレイクするべきだった。そしてその可能性はあった。



マイブーム中ですので、アクセス数が減ろうともウィラードが続きます。

1998年発表のメジャー3rdアルバム。
メジャーに移ってからは1stが元PINK(というか当時は現役でPINK)の岡野ハジメプロデュース、2ndはセルフプロデュース(キーボードでやはりPINKのホッピー神山が参加してますが)、このアルバムはわたくしが敬愛する音楽家土屋昌巳師匠がプロデュースです。
ミックスは当時スライダースのリミックスとか、やたら日本のバンドにかかわってたMicheal Zimmering。
当時は「マイケル・ツィマリング」だと思ってたんですが、今見るとなんかドイツ系ですね。英語だと「Michael」だしね。ひょっとして「ミゲール・ズィマーリン」なのでしょうか。適当ですが。

土屋さんは、おれは作曲家・ギタリスト・ヴォーカリストとしても好きなのですが、プロデューサーとしてもかなり好きです。プロデュースするミュージシャンの持ち味を最大限に引き出し、自分の趣味ややり方をゴリ押ししないスタンスが。確かブランキー・ジェット・シティーやこひるいまき(←なぜか変換できない)かほるその他たくさんのプロデュースもしてたと思うのですが、いずれもいい仕事してたと思います。
多少なりとも音楽活動の経験がある人ならわかると思いますが、自分の頭で鳴ってる音やライヴのノリをそのまま録音物にするのはすごく難しいんですよ。絶対「なんか違う…」ってなっちゃうんですけど、土屋さんはそういうギャップを縮める手法を知ってるんだと思います。
「ここでギターがガーンといって、ホーンがピャーと入って、最後ドラムがグワラゴラガキーンって感じにしたいんです」
と言えば、ガーンでピャーでグワラゴラガキーンという音にしちゃうんだと思います。

そんな土屋さんプロデュースの今作、JUNは「これだ〜!!」って思ったんじゃないかな。1曲目の「Ghost Town Gang」からして有無を言わせぬドライブ感のままホーンが効果的に使われております。
インディーズまでのWillardはまんまダムドでしたが、ここに来てドアーズやロキシー・ミュージック的なグラムなテイストまで芸域を広げています。しかしパンクの疾走感はそのままキープ。

しかしこのアルバムまで在籍していたギターのSHIN、いい仕事するわ〜。
確かこれを最後に脱退、willardもレコード会社を移籍したりして迷走を始めたような気がしますが、この布陣で売れてたらウィラードの歴史もだいぶ違ったのかも。
おれの中では、高野寛やミスチル、L⇔Rあたりから日本の音楽業界(ていうかリスナー)が変わってきて、スピッツのブレイクから明らかに「かっこいい音楽が売れる確率」が高くなったような気がするんですよね。
そういう状況があれば、ウィラードもブレイクしたかもしれないのに!JUNが袴田くんばりのアイドルになったかもしれないのに!



posted by インサック at 00:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月10日

The Willard / My Sweet Journey

willard_MSJ.jpg

これ、売れると思います。



ウィラード9年ぶりの新作、聴きました。

世界観は相変わらず…と思ったのですが、今回はだいぶ明るいです。亡霊とか屍とかはなしで、どっちかっつうとアメリカンなカラっとしたタームが多いです。
このアルバム自体がロードムービーのサントラをイメージして作られたそうですし。

しかし普通にかっこいい。録音もいい。
昔のウィラードのかっこよさを骨太にしてアクを抜いたというか、いい意味で一般性もあるし、巷のいわゆるJ-POP(と言っても最近ほとんど聴きませんが)に比べても遜色ないメジャー感、しかも本物感があるというか。
彼らを取り巻く状況(特に商業的な部分)はけして良くないと思うのですが、ここまでのクオリティの作品を作り上げるとは恐るべし。

これ、普通にプロモーションしたら普通に売れると思うのですが…
でも売れないんだろうな。そもそも接触機会がないもんな。

DVDもついているのですが、収録されている「Uruwashino Baby」のJUNかっこええ〜。もう40過ぎてるのに、いまだにシルクハットかぶって手袋して、パンクに年齢は関係ないと思いました。
ていうか、パンクって最近の若い人聴かないよね。メタルと並んで「死語」ならぬ「死ジャンル」だよね。
人間の快感原則に最も忠実な音楽ジャンルはメタルとパンクだと思うのですが、そういうのがすたれて頭脳的なロック(良く知らないけどフランツフェルディナンドとか?)や、あるシチュエーションを前提とした音楽(良く知らないけどクラブでかかるのが前提みたいなやつ?)が主流になるというのは、なんなんでしょう。
あ、だからウィラード売れないのか。
もう当時の現役が買うしかないな。「80年代ヒット曲のコンピ」とか聴いてる場合じゃないですぜ、あの時ガーゼシャツ着てた少年少女諸君。









posted by インサック at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月26日

Thee Michelle Gun Elephant / Gear Blues

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Machine Gun Etiquetteと言えばThee Michelle Gun Elephant。



ミッシェルガンエレファント1998年リリースの4枚目のアルバム。
バンド名の由来は、誰かがダムドのアルバムのタイトルを「ミッシェルガンエレファント」と読み間違えたからなんですって。

彼らは、まあパンクバンドと呼んで差し支えないと思います。このアルバムまでは。
5枚目から解散までは、またちょっと違った方向性に行った、というか、まったり気味になったというか。元々チバユウスケはパブロックとかロカとかが好きな人みたいなので、自然な流れだったのかも知れませんが。
それも悪くはないのですが、やはりこのアルバムまでのミッシェルはすごく特異というか、孤高の位置にいたと思いますね、日本のバンドとしては。

音楽のスタイルとしては目新しいものではないのですが、デビュー時はすごく「新しい音楽」という印象がありました。なんか密度が違うというか。
「パンク」というのは人によって解釈・定義がいろいろだと思うのですが、おれ的には音楽の形態ではなく、心の持ちようというか、大げさに言うと社会に対する態度のことじゃないかと思うんですね。
いや、実はそのようなことをClashの誰かが言っていて、激しく共感したことがあるんすけどね。
なので、一般的な音楽スタイルがパンクかどうかということはあまり関係ないんですよね。勘違いされやすいスタイルだとも思いますし。おれが勘違いしてるのかも知れませんが。

で、ミッシェルは音も心もパンクだと思うんですよ。
ていうか、「パンク」ってそれまでの「ロック」に対する概念であって、用は主流に対するカウンターのことなんですよね、たぶん。
乱暴な例えですが、ジャズはクラシックやオペラに対するカウンター、R&Bはジャズに対するカウンターだったんじゃないかなあ。
そういう意味で、ミッシェルがデビューした時の状況としては、J-POPに対するカウンターだったのかも知れません。

今聴いても痛快ですね。あくまでも初期衝動に忠実な音、初めてギターを買ってディストーションかなんかエフェクターを買って、スタジオに入ってデカい音で「ぎゃーん!!!」と鳴らしたあの感触、あの興奮をそのまま音楽にしちゃってる。
そして、やっぱチバが天才詩人なんですよね。
あんまり意味ないように聴こえる歌詞なんですが、これまた「あの感触」をしたたるように感じさせる言葉のセレクション。

そんな感じです。



ラベル:パンク TMGE
posted by インサック at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月18日

The Willard / Good Evening Wonderful Fiend

willard_GEWF.jpg

80年代日本語ロックの歪んだ金字塔。



日本のインディーズがある程度一般に認知されたのは、このウィラードや有頂天、ラフィンノーズ等が台頭してきた80年代後半あたりだったと思います。
有頂天は解散し、ヴォーカルのケラは今やケラリーノ・サンドロヴィッチとして日本演劇界で活躍するとは思ってませんでした。まあ当時から演劇活動もしてましたけどね。

で、恐るべきことにウィラードとラフィンノーズは今もメンバーチェンジを繰り返しながら存続しているのですね。
ラフィンは当時からそんな趣味じゃなかったので聴いてませんが、ウィラードは1997年の「Tallyho」から実に9年ぶりの新譜を出したようです。

で、このアルバムですが、1985年当時のインディー界では異例の2万枚のセールスを記録したもので、CDで再発されたものです。今聴いても彼らの最高傑作だと思います。

とにかく世界観が異質。
この楽曲群で描き出される情景は、海賊やサイレンに追われる逃亡者や、墓地や荒地をさまよう放浪者や、日本人に馴染みのある感情や設定は微塵もありません。
というか、抽象的に暴力衝動やタナトスへの傾倒を表現したものですね、全曲。全曲ですよ!?
しかも彼らのこの後のアルバムもほとんどそんなテーマの曲ばかりで、童話の残酷さやヘルズ・エンジェルズ的なバイカーだったりというバリエーションはあっても基本的には一緒。
完全に虚構のダークな世界観を構築しており、こんなんでよく20年以上もやってこれるわ、と感心します。
(と言っても活動休止期間も長いのですが)

しかしこのめちゃくちゃな疾走感、独自の世界観、圧倒的にパンクな演奏、高揚感あづれるメロディライン、そしてどんなにダークでもポップを失わないJUNのヴォーカル、録音や演奏はけしてクオリティ高くはないのですが、「金字塔」と呼ぶのにふさわしい名盤だと思います。
やはり世界観が圧倒的に万人に好まれないものだからセールス的に長続きしなかったんだろうなあ…
posted by インサック at 15:12| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

サンボマスター / 僕と君の全てをロックンロールと呼べ

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混沌と技術と情熱が奏でる永遠の刹那。



タイトルでいいこと言おうとして失敗しました。すんません。

サンボマスターのサードアルバム(2006年)。全18曲75分44秒の大作です。
もう1曲目から有り得ない。
万国共通だと思いますが、アルバムの1曲目には「つかみの曲」を持って来ることが多いです。試聴する時はたいがい1曲目から聴き始めるし、リスナー的にも1曲目には特別な意味を期待する部分はあると思います。
1曲目「二人ぼっちの世界」、これは、一見さんをこばむ曲です。「電車男」でサンボを知った人はびっくりすると思います。うるさくて重い曲。
しかしアルバムを通して聴いた後では、この一瞬の感情を75分かけて表現したアルバムの幕開けにはふさわしい曲のように感じます。
このアルバムには18曲入っているのですが、さながら組曲、というか、いろいろなスタイルの音で、いろいろな言葉で、たったひとつの感情を伝えようとしている気がします。
その感情というのは、極めて形而上的なもの(というか、感情とは元来形而上的なものかも知れませんが)なのですが、強いて言えば心が激しく動かされた時の「あの感じ」でしょうか。困難に直面した時、聖的なものに触れた時、愛するものと共に在る時感じるあの高揚感と浮遊感みたいな感覚。

音楽的には、今までの延長線上なのですが、凄みが増してます。何というか、リミッターが解除されたというか。
5曲目「絶望と欲望と男の子と女の子」なんて、今までメジャーからリリースされた録音物で、こんなめちゃくちゃなものはなかったんじゃないでしょうか。
一方で「二つの涙」という曲は超スウィ〜トなソウルを超ロックなリズム隊でやっちゃうし。
しかし、そのような音楽的なスタイルなんて、サンボ(というか山口隆)にとってどうでもいいんでしょう。
スタイルをエモーションが凌駕している。
音楽的には、彼らは何も新しくないわけです。主にロックとソウルで作られた、ちょっとコード進行やテンションの載せ方が大衆音楽としては変わっている、しかしそれすら洋楽では特に珍しくはない。
サンボマスターをサンボマスターたらしめているのは、山口隆のメロディーメイカーとしての才能、プレイヤーとしての基礎体力、そして何よりも過剰な感情なのではないでしょうか。
さっき1曲目を「有り得ない」と言いましたが、「マスに聴かれる(もっと言えば消費される)音楽としては」有り得ない、という意味で、コアなロックとしてはぜんぜんアリです。
このアルバムで山ちゃんが繰り返しシャウトする「ロックンロール!!!!!」という言葉、それはチャック・ベリーから今まで続く「ロックンロール」とは意味合いが違う、というか、同じなんだけど違うんでしょう。

文章がどんどん長くなりますが、おれはこのアルバムが一番好きですね。
「3枚目が最高傑作」というミュージシャンはすごく多いと思うのですが、正直サンボもそうなってしまいそうな予感があります。ここから先ってちょっと想像つかない。



posted by インサック at 23:58| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月15日

JUDY AND MARY / J・A・M

jam.jpg

初めて聴いた時は「これだ〜!!」と思いました。



もう解散してしまいましたが、間違いなく一時代を築き、フォロワーを続々生み出したジュディマリのメジャーデビューアルバム(1994年)。もう12年前なんですね。
彼らの曲を初めて聴いたのは、なんか深夜の音楽番組で「BLUE TEARS」のPVを見たのが最初だったのですが、ポップとロックのせめぎあいのようなバンドサウンドに載って来る超キャッチーなメロディラインに衝撃を受け、すぐアルバムを買ったのを覚えています。
今聴くと「普通にいい曲」くらいの印象なのですが、当時のJ-POPの状況ではすごく斬新だったんだと思います。どんな人たちが当時売れていたのか忘れましたが。

元々このバンドは、PresenceやJACS`N`JOKERといったハードロックバンドのベーシストだった恩田快人が始めたらしく、このファーストアルバムは全曲恩田さんの作曲になってます。
で、おれは彼の書く曲が好きみたいですね。
というのは、ジュディマリはこの後どんどんギターのTAKUYAが曲が増え、たぶんアレンジの主導権も彼になっていったんだと思いますが、あんまり面白くなかったんです。
誰もが知っている彼らのヒット曲は、たぶん8割以上はTAKUYAの曲じゃないでしょうか。

ジュディマリがこれだけ成功したのはTAKUYAのセンスに拠る部分が大きいんだろうなあ、と客観的には思います。実際売れたわけですし。
ただ、おれの趣味には合わない、というか、なんか曲そのものの力が足りないような感じが。ギタリストとしては面白い人だと思いますが。
ジュディマリ最初のヒットシングルは「そばかす」あたりでしょうか?このへんから、曲は大味になったり。意味なく実験的になったり、音楽以外の部分(YUKIの「女の子の気持ちを素直に表現した詩」とか、ライフスタイルやファッションみたいなところ)が重要視されて行ったような気がしますね。
個人的にはそんなことはどうでもよくって、ファーストの時の「パンク」「ポップ」「泣きのメロディー」みたいな部分を恩田さんに突き詰めて行っていただきたかったんですが、そうしてたらたぶんここまで売れなかったですね。う〜ん難しいですなあ。
このアルバムに収録されている「POWER OF LOVE」「DAYDREAM」なんてすごい名曲だと思うんですけど。

解散後のYUKIは「そんなにビョークになりたいか」って感じですが、それなりに売れてるんでしょうか。
まあずっとジュディマリのパブリックイメージじゃきついわな。


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2006年03月16日

Fairchild / W

fairchild.jpg

かわいかったんです。



最近週刊誌を賑わせているYOUがヴォーカルだったバンドFairchildの1992年のアルバム。
当時はYOUがこんなんなるとは夢にも思ってませんでした。たぶんアーティストっぽい人と結婚して、おしゃれだけどちょっと不思議なライフスタイルをエンジョイする、かっこいい女性になるんだと思ってました。
プライベーツの手塚ショーネンと結婚したくらいまではその路線だったんだけどなあ…
Fairchildというバンドは、商業的にはそんな成功しなかったと思います。「ごっつ」の主題歌(「きらいだよ」)、アルペンのCM(このアルバムに収録されている「スキスキ有頂天国」)、「紅茶のお酒」(「探してるのにぃ」)あたりが中ヒットしたくらいでしょうか。
YOUが一般に認知されたのは「ごっつ」レギュラーあたりからだったと思いますが、ここまでバラエティタレントになってしまうとは、恐るべし。

そんなYOUですが、昔はかわいかったです。いや、今でも十分魅力的な人だと(毀誉褒貶あるみたいですが)おれは思いますが、Fairchild時代のYOUは神がかってかわいかったと思う。
ルックス的にもそうですし、声にオーラがあるし、発言もちょっと変わってたりして、元祖不思議ちゃんという感じでしょうか。

ま、おれがずっと(デビューから解散まで)聴いていたのは、リーダーの戸田誠司の音が好きだったからですけど。って話の流れ的に説得力ないですか、そうですか。
でも、YOUのキャラクターなしでは成立しなかったバンドだとも思います。

という長い前置きを経てアルバムの話ですが、これは2枚組アルバムです。Red DiskとBlue Diskに分かれており、Redはアップテンポ中心、Blueは静かめな曲中心です。Foo Fighters最新アルバムみたいですね。
当時のインタビューで、戸田氏は
「レコード時代のA面・B面的な感覚を再現するために2枚組にした」みたいなことを言っていたと思います。

このBlueの方がいいんですよね。抑えたポップセンスが光ってます。
Fairchildのアルバムとしては、トータルではベストではないと思うんですけど(2枚組ということもあり、セールス的にも苦戦したと思います)、このBlue Diskだけはいい。
ただ、当時の雰囲気としては、RedのYOUのちょっとふざけたキャラクターが受けた…のかなあ?おれ的にはやりすぎだったと思うんですけど。
むしろ初期のテクノアイドルっぽい感じや(YOUはもともと「江原由希子」という名前でアイドルとしてデビューしてます。詳しくはここ参照)、ラストアルバム「Comme a la Radio」の完成形に比べればいまいち感はありますが、でもBlue Diskは好き。統一感あるし。

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2006年03月13日

東京事変 / 大人

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いい曲ぞろい。



東京事変のセカンドアルバムが出ました(2006年)。
デビューアルバムからはギターとキーボードがメンバーチェンジしてますね。

で、内容ですが、おれは1stより好きです。
前のアルバムでは、「バンド」という形態に拘ったのか、ミュージシャンエゴ、というか、メンバーの演奏者としてのエゴが前面に出ていたような気がするのですが、今回はだいぶ落ち着いている、というか、各パートが楽曲に奉仕するような印象があります。
特に前作のキーボードとギターって、わりとトリッキーな音作りだったと思うので、こちらのほうがまっとうな感触です。まさに「大人」。
そのせいかどうか、楽曲のレベルがすごく高く感じる。
林檎って、もともと普通に「いい曲」を書ける才能がすごくある人だと思うのですが、今回は先行シングル「修羅場」をはじめ「スーパースター」「透明人間」など名曲ぞろいと言えましょう。

スタイル的にもジャジーな感じではあるのですが、そういうスタイルとしての変化よりも(ていうか、前からジャズっぽい曲もありましたし)もっと本質的な部分で均整が取れている(エゴや趣味に走らない)ところが大人っぽいと感じましたし、そこがこのアルバムの魅力だと思います。

特にベースの亀田誠治、彼のベースは林檎ソロ時代からずっと素敵です。優れたポップソングには優れたベースラインがつきものです。
逆にギターの浮雲さんは、音はいいんですが、演奏力が少しヤバイような…
特に「修羅場」のギターはちょっといただけないと思いました。
林檎のヴォーカルはソロ時代の「つきつけられる」感じがなくなり(それも好きでしたが)、精神的な余裕が感じられますね。
彼女の中では、東京事変と林檎ソロは別物なんでしょうね。あるいは、ソロ時代の、周囲のプレッシャーや自分の中のディーモンから開放された影響ってことなのかなあ。

林檎がソロで出した3枚というのは、80年代後半のプリンスにも通じる怒涛の変化/進化を体験できてゾクゾクしたのですが、今回のアルバムはプリンスで言うと「Emancipation」的な、今まで耕した畑から収穫を始めたくらいのイメージでしょうか。
プリンスはそこからさらに「Musicology」という、何回目かの黄金期に突入しており、もうすぐリリースされるニューアルバムもたぶん傑作なんですけど、林檎もそんな感じで次のレベルに到達していただきたいものです。天才は一生成長すると言いますし。




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2006年03月02日

ICE/midnight skyway

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懐かしくて新しい。



宮内和之と国岡真由美によるユニット、ICEの6枚目のアルバム(1998年)。
一時期すごく好きで、デビューアルバムからこのアルバムまでずっと聴いてました。

全体的な感触としては70~80年代のR&Bっぽいんだけど、当然今の音楽ですから打ち込みも使ってて、わりとミニマムなバックトラックに国岡さんのクールでシャープなヴォーカルと宮内さんのカッティングやソロが乗って来る、という基本構成です。
お洒落で泥臭い、シャープで野太い、打ち込みですごいグルーヴ感、という相反する要素を矛盾なく表現しているのはすごいと思いますし、他のアーティストではありえない唯一無二の個性だと思います。
都会的な音なんだけど、その「都会性」は洗練されているだけではなく、ニューヨークのちょっと怖いあたりとか、吉田秋生の「カリフォルニア物語」なんかとマッチする、ちょっと泥臭い感じもあったりします。

てな感じで、音の構築は非常に個性的でレベルも高いのですが、加えて彼らはプレイヤーとしても非常に優れていると思います。
宮内さんのギタースタイルは、ファンクとブルースとジャズと等間隔に位置するような、すごい絶妙な色を持ってます。
16ビートの切れ味鋭いカッティングあり、チャーばりのソロあり、音色はギターのボディーをうまく鳴らしている温かみを感じますが、打ち込みとの相性がいいデジタルさも感じます。
国岡さんのヴォーカルは基本はクールでセクシーだけど時にはキュートに、時にはワイルドに、しかし感情に流されることはなく、あくまで美しく上手です。
声質がちょっとハスキーで裏声と地声の中間な感じで、感情がこもっているようないないような、これまだ独自のヴォーカリゼーションだと思います。

音楽性はそんなに変化はなくて、デビューアルバムからこのアルバムまでは、基本線は変わらずですね。しかしいちいちレベルは高いですし、マンネリ感もありません。
商業的にはそれなりの成功を収めたと言っていいと思いますが、大ヒットはしなかったんじゃないかな。
前述の「泥臭さ」が日本のマーケットでは受け入れられなかったのかも知れませんね。
引き合いにだしたチャーも、アイドル的に売り出されたデビュー時の「気絶するほど悩ましい」(ってひどいタイトルだなあ)以降、Pink Cloudもジョニー・ルイス&チャも売れてはいないですからね。ミュージシャンズ・ミュージシャンとしての支持はすごくあると思いますが。

で、ICEですが、このアルバム以降はぜんぜん聴いてないんですよね。
公式サイトを見るとコンスタントに活動しているみたいですし、最近のアルバムも今度聴いてみようと思います。


posted by インサック at 23:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月09日

氣志團/愛羅武勇

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音楽性はどうでもいい、いい意味で。



氣志團ちゃん待望のニューアルバム(2005年)。全18曲70分超の大作です。
タイトルとジャケットは、毎度のことながら80年代北関東カルチャーからの引用です。
ブックレットが付いているのですが、なんか架空の青春映画「愛羅武勇」のパンフレットみたいな感じです。たぶんきっちりシナリオ作って演じてるんだろうなあ(笑)。
音楽的には、いつもの過去の音楽作品からの引用・オマージュ・パロディ(特に80年代邦楽)はかなり少なくなってます。ていうかほとんどありません。
加えて、今までほとんどの曲を綾小路翔(団長)が書いていたのですが、今回は10曲。星グランマニエ(ギター)が4曲、西園寺瞳(ギター)と白鳥松竹梅(ベース)が各1曲となっております。
ランマは過去のアルバムでも曲を書いているのですが、彼は、純粋に音楽の才能という意味では、翔やん以上だと思います。すごいいい曲を書く。
さすが翔やんをして「音楽に愛された男」と言わしめた人。
ま、今までの引用による曲作りって翔やんの方向性によるものが大きかったので、他の人の曲が増えれば必然的にそういう部分は減る、とも言えます。
おれなんかはそういうのでニヤリとするのも好きでしたけどね。

プロデューサーはこれもお馴染み阿部義晴。
阿部Bと氣志團の相性いいと思います。元ユニコーンだからという訳だから比較するわけじゃないけど、奥田民夫とは対照的なけれん味ギミックたっぷりな感じが氣志團の「過剰な感じ」にマッチしてますな。

で、このアルバムというのは、実は氣志團にとって大いなる実験なのでは?という気がします。
いろんなタイプの曲をやってみて、メンバーも曲を書いてみて、次のスタイルを編み出そうと試行錯誤しているのではないでしょうか。
とは言え、タイトル曲の「愛羅武勇」に代表されるように、超ポップな曲をひたむきにふざけることにより結果的に感動に着地する、という黄金パターンは健在ですし、ランマの曲はリリカルでスリリングだし、もちろん阿部Bはいい仕事してますし、商品としても立派に成立しています。

しかし、元々なぜ氣志團が過去の音楽の引用にあふれたスタイルを選んだか考えて欲しい。音楽的才能に乏しかったからです。翔やんはそれを十分自覚していて、それを補うために音楽以外の部分をめっちゃくちゃ強化したわけです。
その「ありよう」におれは感動したわけで、氣志團は音楽的に成長しなくてもいいと思うんですよね。翔やんの歌は相変らず技術的には下手だけど、情熱と馬鹿馬鹿しさを表現するには最高です。
バンドアンサンブルとして相当高いレベルにあるバンドなので、実は曲がそこそこでも十分かっちょよく聴かせることができるんです、彼らは。

ということで、下手に音楽的にならず、バカなことをものすごい勢いで、もう120%の情熱でやり続ける、その様を見せ続けて欲しいです。
でもランマの曲は良いな。ソロアルバム出さないかな。


posted by インサック at 23:24| Comment(5) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月06日

Theピーズ/赤羽39

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変わらないもの、変わるもの。



Theピーズの新譜が出ました(2005年)。
2003年の復帰後、第3作。今のところアルバムは年1作ペースで順調に出ていて、うれしい限りです。
タイトルのとおり、もう39か40のおっさんなわけですが、1989年のデビューの手触りはそのままに、歌詞や楽器は時間の分だけ深化してますよね。
おれはデビューの時から彼らのファンだったのですが、「身も蓋もない歌詞」と「王道ロックからほんの少しズレた曲進行」というのは変わってないです。
ただ、歌詞は「どうにかなるさ」的能天気さから「どうにか生き延びた」的絶望へと、音は2~3分のコンパクトなロックナンバーから、ギターの音はどんどん重苦しくなったり、間奏がどんどん長くなったりで内省的になって行きます。
まあ言えば、ポップさがどんどん無くなっていって、それは復帰後も一貫している、という感じです。
とは言え音楽のベースがブルーズやジャズではなく、パンクやパブロックだったりするので、聴いててだるくはないです。

今作も、そんな投げ遣りと絶望とやけくそに彩られた1枚ではあるのですが、前の2作よりもロック度は高いですね。
今までは「絶望度」高めだったけど、今回は「やけくそ度」高め、という感じです。

そもそもピーズのこういう姿勢って、ロックの本質のひとつだと思います。
おっさんがのたまう「ロック論」みたいなもので、「元々ロックは反抗の音楽で、現状に対する不満や異議申し立てである」というのがありますが、それはなんだかんだ言って真理だと思います。
ピーズの音楽は「反抗」というよりも、現状をありのまま受け入れて、絶望して、でもその中でなんとかやりすごして生き延びていくか、やれやれ、みたいな感じで、覇気のないことおびただしいわけですが、でも人生ってそんなもんだよね、とも思うわけです。

また、彼らのロックミュージックに対するセンスはまぎれもなく一級品で、ヴォーカル&ベースのはるはまぎれもなく天才詩人なわけです。
このところ音楽的進歩はほとんど感じられないわけですが、40手前のおっさんにそんな革新性を期待するのが間違いっていうもので、ピーズはこのまま1年に1回いつもの感じでアルバムを出し続けてくれればいいです。
また活動休止になったら悲しすぎます。
posted by インサック at 13:21| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月04日

m-flo/Beat Space Nine

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またしてもすげえ。



前作「Astromantic」に続く「m-flo loves」なニューアルバム(2005年)。
ところで前作は50万枚「しか」売れなかったんですってね。200万枚くらい行って当然だと思いますが。おかしくないですか?

で、今回も曲ごとに違うヴォーカルゲストを迎えつつ、音はもうm-flo。当たり前ですが。
またこれも前回と同じく、ヴォーカリストは色を添える程度の役割に過ぎません。
ていうか、それぞれのソロでの作品より数段かっちょいいです。
例えばSoweluとか加藤ミリヤとか、ソロ作品をスペシャとかで聴いててもこれっぽっちもいいとは思えないのですが、このアルバムの中では輝いています。
これはもうm-floの腕とセンスしか言いようがないですな。

良く聴くと、そんな凝ったアレンジをしているわけではないのですが、Verbalのラップの入り具合とか、リズムの乗り具合が絶妙にスリリング。
アップテンポの曲からスローバラードまで、とにかくリズムがステキ。ヴォーカルなくてもいいくらい。

でも、一人だけヴォーカルが心に残ったシンガーがいます。
それは和田アキ子LISA。
リズムのキレが、他の人と全然違う。
思えばおれが初めて聴いてショックを受けたm-floの曲は「EXPO EXPO」に収録されている「come again」だったのですが、(LISA脱退前なので、当然LISAがヴォーカルです)それと通じるキレの良さ。
これはやっぱり一緒にやってた時間が成せる業か。

前作を聴いた時は
「別にヴォーカルがLISAじゃなくても全然m-floだしかっこいいし、問題ないやん。」
と思ったのですが、今回は
「m-floのトラックにはLISAのヴォーカルが一番合うなあ。」
と思いました。
おわり。

posted by インサック at 23:56| Comment(6) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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